スマートフォンやタブレットの多くで、ARMベースのプロセッサコアを搭載するSysetm-on-a-Chip(SoC)が採用されています。かつては、ARMベースの製品の評価ボード等は開発者向けで生産量が限られていたこともあり非常に高価なものでしたが、テキサス・インスツルメンツ社のOMAPを搭載するBeagleBoardを皮切りに、一般向けのARM搭載ボードが発売されるようになりました。最近ではオープンプロジェクトとして開発され日本円で3000円台で購入できるRaspberry Piが話題になったりもしています。

 そうしたトレンドに乗った商品として本稿では、台湾VIA Technologiesが販売を始めたAPCを紹介していきます。

VIA APCの概要

 VIA Technologiesは、x86互換のVIA C3やVIA Nanoプロセッサシリーズを手がけ、また小型PC互換マザーボードMiniITXフォームファクタなどの企画を提唱するとともに、同フォームファクタのマザーボード製品を販売するなどPC関連ではお馴染みのメーカーです。

 そのVIA Technologiesは、ARMコアをベースにしたSoCを手がけるWonderMedia Technolgiesを傘下に収めています。WonderMedia TechnolgiesはPRISMと呼ばれるタブレットやスマートフォン、スマートTV向けのプラットフォームを開発しており、SoC製品はそのプラットフォームの核として開発されています。

 これまでWonderMedia Technolgiesの製品は中国製タブレットなどに採用例はあったものの、スマートフォンなどへの目立った採用がなく、ARMベースのSoCとしてはメジャーなものとはいえないと言っていいでしょう。しかし、2012年初頭にVIA TechnologiesがAPCという開発者向けの低価格(49ドル)のボード製品を発表して注目を集めました。

写真 APC
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 APCはWonderMedia TechnolgiesのWM8750というSoC製品をベースにしたボードですが、最大の特徴はNano-ITXやMini-ITXといったボードと形状の互換性を持つ点です。通常、ARMベースのSoCを搭載するボード製品は独自のサイズ、独自のI/O端子群を採用している関係でケースは手作りするなど工夫が必要になりますが、APCはNano-ITXやMini-ITX対応のPCケースに収めることができます。

写真 Mini-ITXケースに収めたAPC(ケースはアスクテックの「NT-MC400i/BD」)
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