サービス開始から1年強で5500万登録を突破したLINE。その勢いの背景には何があるのか。LINEを生み出したNHN Japanを率いる森川 亮代表取締役社長は、スマートフォンに特化したサービスとして開始したことをまずはその理由として挙げる。森川社長にLINEが生まれた背景やその考え方、開発体制、これからの展開を聞いた。
5500万超のユーザーを短期間で獲得できた理由は。
いくつかあるが、まずはスマートフォンに特化したことだと思う。最初に登録する際、他社の同種のサービスだとユーザーIDを取得することから始めるが、LINEは電話番号をベースにすぐに登録できる。それができたからこそ電話帳との連携も可能になり、登録数がさらに伸びた。コミュニケーションに特化してユーザーインタフェースなどをシンプルにしたことも理由として挙げられるだろう。
これまでPCの分野では「CURURU(クルル)」というSNSを提供したり(2010年3月に終了)、Twitterのような「pick」を展開したり、グループで遊べるmixiのコミュニティのような「cafe」というサービスをやったりしながら、コミュニケーションのスタイルをどうするかという勉強をしてきた。これらのノウハウをスマートフォンに集中したのがLINEだと思ってもらえばいい。
日本では既に携帯電話のサービスの文化があったことも大きい。PCでも携帯でも過去に流行したものがあり、その理由が何なのかをひも解き、それがスマートフォンに来たらどうなるのかをベンチマークし、研究し、具現化した。携帯電話のサービスについての経験を最も蓄積しているのは日本だ。そこが生かせた。
テレビコマーシャル(CM)で一気に広まった印象がある。
テレビCMの効果は確かにあったが、実際には2011年6月にサービスの提供を開始してから急激に伸びた。元々こうしたアプリはバイラル(口コミ)で伸びていくもので、テレビCMはそれを加速したという認識だ。
日本だけでなく、海外でユーザーが増えている。当初からグローバル展開を視野に入れていたのか。
開発者のなかには外国人もいる。「英語版を出した方がいいんじゃないか」ということで出したら、それがたまたま火が着いた。当初はプロモーションも特にしていなかった。
韓国では同種のサービスとしてカカオトークが人気がある。それに対抗して本社が「NAVER Talk」というサービスを出したが、カカオトークを超えるまでにはならなかった。日本でNAVER Talkを提供しないかという話は本社からはあったが、そうではなく日本独自で日本向けに作ろうということでLINEが生まれた。