LINEは8月現在、5500万超もの登録ユーザーを集めたことから、次の取り組みが注目されるようになってきた。具体的には、“プラットフォーム化”と“マネタイズ”である。

 FacebookやMobage(DeNAのゲームプラットフォーム)に代表されるように、コミュニケーションの要素を持つサービスの多くは、日常的に利用しているユーザーをベースに、さまざまなコンテンツをそのサービス上に流通させることで収益化を図っている。こうした“プラットフォーム化”を実施するケースが増えている。

 LINEも同様にプラットフォーム化を推し進め、コンテンツの流通や収益化を図る動きを強めている。第3回はその動向を迫う。

有料スタンプの販売で高い収益を上げる

写真1●LINEは有料でスタンプを販売する「スタンプショップ」で、直接課金によるマネタイズを既に成功させている
写真1●LINEは有料でスタンプを販売する「スタンプショップ」で、直接課金によるマネタイズを既に成功させている
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 LINEは「トーク」と無料通話がサービスの基本となっているが(LINEとは一体どのようなサービスなのか?)、いずれのサービスも無料で料金はかからない。アプリ内に広告を掲載しているわけでもない。それでも、2012年7月時点で既に5億円もの収益を上げている。

 その収益は、スタンプの販売によるものだ(写真1)。第1回で説明した通り、LINEのトークは、テキストだけでなく絵文字、そしてキャラクター画像などによるスタンプを用いることで表現力の高いチャットが可能となっている。そしてさまざまなスタンプが、専用のスタンプショップで有料販売されているのだ。

 スタンプにはLINEオリジナルのものだけでなく、さまざまな人気キャラクターのスタンプも用意されている。例えば、同じスマートフォンアプリである「おさわり探偵 なめこ栽培キット」で人気の「なめこ」のスタンプも有料で配信されており、こうしたオリジナルスタンプを用いてチャットの表現力を高めたいユーザーが、積極的に購入している。

 スタンプ販売の好調ぶりは、スマートフォンのアプリを配信するマーケットからも確認できる。App StoreとGoogle Play、双方の売り上げランキングを見ると、高収益を上げているとされるソーシャルゲームが多数ランキングに並ぶなか、LINEがランキング上位に食い込んでいることが分かる。スマートフォンのアプリ、特にゲーム以外の実用系アプリは収益化が難しいとされているが、LINEは既にスマートフォンアプリの中で高い収益を上げているのだ。