前回は、LINEの中核となる機能について説明したが、その内容を見ても分かる通り、チャットやIP電話など、パソコンのインスタントメッセンジャーが備えていた機能に近い。それらをスマートフォン向けに最適化し、より分かりやすく、使いやすくしているのが、LINEの特徴といえるだろう。

 とはいえスマートフォン向けに、LINEと同様の機能を提供するサービスは、他にも多数存在する。ライバルが数多く存在する中で、後発のLINEが国内外で5500万ものユーザー登録を獲得するなど、多大な人気を獲得した要因は、どこにあるのだろうか。以下で見ていこう。

チャット・無料通話アプリは競合が多い

 スマートフォンのマーケット上には、LINEと同じように、リアルタイムのチャットができるインスタントメッセンジャーや、IP電話による無料通話を実現するアプリは数多く存在する。しかもその多くは、LINEの登場以前から提供されていたものだ。

写真1●米Microsoftの「Skype」
写真1●米Microsoftの「Skype」
チャットや無料通話などの機能を備えたサービスとしては、「Skype」をはじめ多くのサービスが既に存在する。
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 代表的な例を挙げれば、米Microsoftの「Skype」が挙げられるだろう(写真1)。Skypeはインターネットを経由した無料のIP電話として世界中で人気を博しており、テキストによるメッセンジャー機能も備えていることから、スタンプがない以外はLINEに似た機能が備わっている。

 スマートフォンが主体のサービスであれば、Skype同様無料通話とテキストによるチャットができる「Viber」も、LINEに近い機能を備え米国を中心に人気となっている。韓国で広く普及しているメッセンジャーサービス「カカオトーク」も、LINEよりも先に登場し、日本語版も既に提供されている。特にカカオトークは、チャット主体のサービスである点や、仕組みとしてLINEと共通した要素が多いことから、直接の競合といえるだろう。

 さらに言うなら、iPhoneにはテレビ電話ができる「Facetime」が搭載されているし、Androidにもチャットができる「Googleトーク」や、「Google+」でテレビ電話ができる機能などがあらかじめ用意されている。他にも有名・無名のツールを合わせて、スマートフォンにおける同種のツールは非常に多い。

 こうした強力なツールが存在しているにもかかわらず、2011年6月の提供開始からわずか1年たらずでLINEが急成長できたのには、どのような要因が挙げられるだろうか。