スマートフォンやタブレット端末向けに開発したアプリの動作テストを、クラウドで実施できるサービスが登場した。アクセンチュアの「リモートテストサービス」や、ベンチャー企業であるソニックスの「Scirocco Cloud」がそうだ。両サービスとも、50種類を超えるスマホの実機を用意する。

 アクセンチュアは2012年9月から、複数の携帯電話事業者のスマホが利用できるテスト環境をクラウド経由で提供する。3月に、NTTドコモと共同でテスト環境を構築し、ゲーム会社などに提供。8月には一般企業にサービス提供先を拡大したが、NTTドコモの端末に限定していた。月額48万円からで、開発コンサルやテスト代行などのメニューも用意する。

 ソニックスはすでに複数事業者に対応済みで、この8月にタブレット端末への対応を開始した。9月には、複数端末のテストを並列で自動実行できるメニューを、月額1万5750円で新たに提供する。

 これらのサービスを利用すれば、開発したアプリが、手元にない機種でも適切に動作するか、どこに問題点があるかを検証できる。企業が複数種類のスマホを導入している場合や、社内の推奨機種を決める場合などに、アプリの動作検証を手軽に実施できる。わざわざ個別にスマホを確保する必要はなくなる。

 サービス利用者はまず、開発したアプリをサービス事業者のサーバーに登録する()。その際、サービス事業者が用意しているどの機種でテストするかを指定しておく。

図●スマホ用アプリの動作テストを実施するクラウドサービスの仕組み
アプリの実行状況をブラウザー画面で確認できる。テスト項目としてボタン操作やセンサーとの連携も指定可能だ
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 各サービス事業者のサーバーには、テスト用スマホの実機が多数接続されている。サーバーは登録されたアプリを指定の機種にインストール。アプリを起動して、テストする仕組みである。

 サーバーには、利用者がブラウザー画面からテスト用スマホを遠隔操作する機能がある。テスト用スマホの画面内容などを遠隔で確認しながら、アプリが正常に動作するかをチェックできる。

 テストを自動化することも可能である。テスト内容を、あらかじめ事業者が指定するスクリプトなどで記述しておく。

 現状では、両サービスともにAndroid端末を対象としている。Android端末は機種によって画面サイズやアプリの挙動が異なり、企業によるニーズが高いためだ。両サービスとも、iOS端末のテスト環境はニーズに応じて提供する予定である。