スマートフォンの機能はメインボードに集約されている(図1)。その中でも、中心になるのはアプリケーションプロセッサと呼ばれる部分。スマートフォンやタブレットに使われるマイクロプロセッサはいくつかの点でパソコン用のプロセッサと違う部分がある。
スマートフォンやタブレットに使われるプロセッサ(関連記事)は、SoC(System on Chip)と呼ぶことが多い。これはシステムを構築するのに必要な回路(パソコンでいえばチップセットなど)を、CPUとともに統合しており、一つのデバイスとしているからだ。
スマートフォン用のプロセッサの場合、CPUに統合されているのは、オペレーティングシステム(OS)などを実行する「アプリケーションプロセッサ」のほか、「GPU」「ベースバンドプロセッサ」「メモリーコントローラー」「その他のデバイス」などである。
「ベースバンドプロセッサ」は、2G/3Gの通信をするための回路であり、これについては次回解説する。ここでは、通信のための回路が内蔵されていると理解しておいてほしい。従来の携帯電話では、通信を司るプロセッサを「ベースバンドプロセッサ」と呼び、表示やユーザーインタフェースなどを処理するプロセッサをこれと区別するため「アプリケーションプロセッサ」と呼んでいた。
プロセッサ製品によっては、無線LANやBluetoothといった通信機能も統合していることがある。図2は、Nexus Oneに搭載されているSoCである「QSD8250」の内部構成を表したものだ。QSD8250を含め、米QualcommのSoCのシリーズは「Snapdragon」と呼ばれている。
このような構成になったのは、携帯電話などのモバイル機器は小型化したほうが可搬性が高くなるためだ。より小さく作る傾向が強く、進化とともにさまざまな周辺機器が追加され、そのための空間も必要になる。例えば、携帯電話は今ではカメラを内蔵するのが当たり前になっているが、かつてはカメラは入っていなかった。同様にBluetoothも今では多くの携帯電話やスマートフォンが装備するようになっている。
さらにスマートフォンの場合、高解像度の背面のカメラだけでなく、ディスプレイ側にもカメラを装備する製品が多い。無線LANもスマートフォンでは標準装備だが、携帯電話には搭載している機種は少ない。このようにさまざまな機能が追加されていくなかで、小型化という方向に進んでいるため、CPUと必要な周辺機器を統合し一つのデバイスに集約させるようになっているわけだ。