ソフトウエア開発の失敗を防ぐにはどうすればよいのか。著者はそのためのノウハウを、ソフトウエアエンジニアリングやプロジェクトマネジメントに関するさまざまな手法や方法論に関する文献を引用しながら、解説している。いずれも、「一人一人のエンジニアのアウトプットを最大にする」「変更に耐性を持つ開発スタイルにする(しかし変更は最小限にとどめる)」「品質第一主義」「非機能要求は上流から下流まで特別な扱いをする」という四つのTipsに集約されるという観点で書かれている。

 開発手法やマネジメント手法、著名な先人の論点を、著者の経験を踏まえて分かりやすく説明。体系立った解説というより、開発の失敗を防ぐという視点、なおかつ現場の現実的な視点で、重要な部分を抜き出して凝縮したような印象がある。各種の手法や方法論を難しくて分かりにくいものと思っていた読者も、多くの共感や納得を得られるだろう。

知識ゼロから学ぶソフトウェアプロジェクト管理

知識ゼロから学ぶソフトウェアプロジェクト管理
勝呂 暖生著
翔泳社発行
2394円(税込)