スマートフォンの2大アプリマーケットというべき、「App Store」と「Google Play」。この二つを見比べてみると、単に扱うプラットフォームが異なるだけでなく、ランキングに対する考え方や、ランク付けの仕組みに至るまで、さまざまな点が異なっている。

 そこで今回は、両マーケットの最近のランキング動向を比べることで、それらのランキング動向における共通点と相違点を知ると共に、各ランキングのあり方から、マーケットやアプリの種類におけるプロモーション手法がどのように変わってくるかを解説する。

傾向が大きく異なる無料ランキング

 ランキングは大きく分けて、無料、有料、売上(セールス)の三つがあることは第1回で解説した。最初に、App StoreとGoogle Playにおけるこれら三つのランキングの上位5位を、約1週おきに4週に渡って調査した結果を比較した。なおGoogle Playの無料・有料ランキングは、「人気」ではなく「人気の新着」を対象としている。

 両者のランキングを比較して、最も大きな違いが出るのが無料のランキングだ(表1)。App Storeの「トップ無料」における上位5位の動向を見ると、ほぼ毎週のようにランクインするアプリが変化し、目まぐるしく順位が入れ替わっているのが分かる。

表1●2012年7月第4週~8月第3週までの各マーケットにおけるランキング上位5位の推移(無料)
表1●2012年7月第4週~8月第3週までの各マーケットにおけるランキング上位5位の推移(無料)
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 それに対し、Google Playの「人気の新着(無料)」における上位5位の動向を見ると、一部のアプリが3~4週にわたって継続的にランクインするなど、長期にわたって同じアプリがランクインする傾向が見られる。

写真1●App Storeの無料アプリ上位5位に該当期間中2度ランクインした「LINE Brush」
写真1●App Storeの無料アプリ上位5位に該当期間中2度ランクインした「LINE Brush」
LINEの人気をベースとしてダウンロード数を伸ばしていると考えられる
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 こうした差が出るのは、ランキングを算出するためのアルゴリズムが、App StoreとGoogle Playで大きく異なっていることが影響していると考えられる。App Storeは比較的短期間のダウンロード数がランキングに影響するのに対し、Google Playはそれより長い期間でのダウンロード数がランキングに影響している見ることができる。

 こうした違いから、App Storeでランクインをし続けるには、継続的なプロモーションが必要となることが分かる(写真1)。一方、Google Playでは、一度ランクインすれば継続的なランクインが見込め、それが有効なプロモーションになることから、アプリ公開直後の初期動向が、後の動向に大きな影響を与えるといえよう。