日本IBM、日本オラクル、セールスフォース・ドットコム(SFDC)日本法人が、CRM(顧客関係管理)用のクラウドサービスやソフトの拡充を急いでいる()。対象はWebサイトを通じて商品やサービスを提供する企業で、顧客が望む情報を先回りして提供するなど顧客満足度向上を支援する。

表●主な大手ベンダーのCRM(顧客関係管理)強化の取り組み
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 各社とも、米本社が買収した企業の製品やサービスを日本で投入する。日本オラクルは2012年7月26日、「Oracle Customer Experience」ブランドで4種類のCRM製品・サービスを発表した。遠藤隆雄社長は「CRMは今年度、アプリケーションの売り上げを伸ばす主要な要因になる」と語る。

 目玉は「RightNow CX Cloud Service」。米本社が買収した米ライトナウ・テクノロジーズのクラウドサービスである。Webサイトに訪れた顧客の行動を見て、「情報を探している」場合に先回りしてポップアップ画面などで関連情報を提示する。満足度の向上に加えて、電話やメールによる対人サポートのコストを引き下げるメリットもあるとする。

 日本IBMは昨年から今年にかけて、顧客を購買行動へと結びつけるソフトやサービスを相次ぎ投入している。

 8月には複数顧客の購買履歴データを基に、売上高もしくは利益を最大にする値付けや商品の組み合わせを導き出すクラウドサービス「DemandTec」を開始。これに先立ち昨年5月に、キャンペーンを分析・管理する「Unica」を発売した。年齢層や購買履歴、誕生日などの顧客のプロフィールに基づいて、キャンペーンを実施するためのシナリオを複数用意。販売実績を測定して、キャンペーンの効果の最大化を支援する。

 DemandTecとUnicaを併用すれば、戦略的な価格設定と販促キャンペーンを連動させて、顧客満足度向上と収益拡大の双方を狙えるようになる。どちらも、米IBMが買収した企業の製品だ。

 SFDC日本法人は、主力事業であるCRMと連携するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)関連機能を強化している。早ければ12年中に、米本社が10月までに買収完了する見通しの米バディメディアのサービス「BuddyMedia」を日本で提供する予定だ。同サービスは「Facebook」を利用した販促活動を支援する。Facebookページの利用企業が、いつどのような投稿をするのかを設定したり、顧客の反応を分析したりできる。