スマートフォンは海外出張や旅行に欠かせないデバイスとなりつつある。安全で快適な旅を実現するためには情報収集が重要であり、できれば旅先でも日本で使っているスマートフォンを、日本と同じように活用したいところだ。そのためには海外における通信手段の確保が必要不可欠となる。
そこで今回は、海外に出かける人が増える夏休みに合わせて、海外ローミングやプリペイドSIM(写真1)といった、海外でのスマートフォンのデータ通信手段について解説してみよう。
便利だが割高な海外ローミング
短期間の海外渡航時に使える通信手段としては、大きく分けて「海外ローミング」、「プリペイドSIM」、「モバイル機器のレンタル」の3通りが考えられる。
多くの人にとって最も簡単な通信手段は海外ローミングだろう。これは、日本の通信事業者が海外の通信事業者と提携して、日本国内のユーザーがその国に行ったときに通信できるようにするサービスである。スマートフォンなど、日本で使っている端末がそのまま、あるいは簡単な設定だけで、すぐに現地の通信ネットワークに接続して使えるようになる。
一昔前は、海外ローミングによるパケット通信は非常に高価だった。だが、現在ではNTTドコモが「海外パケ・ホーダイ」(写真2)、KDDI(au)が「海外ダブル定額」(写真3)、ソフトバンクモバイルが「海外パケットし放題」(写真4)と、名前は異なるものの携帯電話業者各社で同じような海外向けのパケット定額サービスを提供している。
各社とも、定額制となる前に比べればはるかに安価な価格設定で、しかも上限額が決まっているので予想外な高額請求となることを心配せずに利用できる。とはいえ、国内でのデータ通信に比べれば、依然として割高な印象である。NTTドコモとKDDIは20万パケット(約24.4Mバイト)までが1日1980円、それ以上利用すると1日2980円となっている。ソフトバンクの場合は25Mバイトまでが1980円、それ以降は2980円だ。動画や音楽を使わず通信を節約するように気をつければ、1980円で利用することも不可能ではなさそうだが、海外で撮影した写真を次々とアップロードするような使い方では、すぐに2980円に達してしまう可能性が高い。
また、パケット使用量の計算方法にも注意したい。各社ともに1日の使用量を日本時間の0時から23時59分までを基準として計算している。たとえばロンドンの夏時間では、日本の0時は16時に相当する。複数の国を周遊する場合はより煩雑になる。
最も注意が必要なのは、パケット通信料が定額となるキャリアが限られている点だ。海外定額を利用したい場合は、事前にキャリアを指定しておいた方がよい(写真5)。自動接続にしておいて、もし定額対象ではないキャリアに接続してしまい、そのままパケット通信を続ければ、高額の料金を請求される恐れがある。