前回、歌声合成ソフト「UTAU」の操作方法を一通り説明しました。今回は、実際に歌声を入力してみましょう。誰でもが一度は歌ったことがある日本古謡「さくらさくら」で実践してみます。ビブラートなどのアレンジも加えます。

図1 日本古謡「さくらさくら」
図1 日本古謡「さくらさくら」
全体的にゆるやかなメロディーなので入力しやすい曲です。
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 実際に歌声合成ソフト「UTAU」で歌声作りを始めましょう。最初のうちは、人が作った歌をそっくりまねて再現するのがよいでしょう。日本古謡「さくらさくら」で練習してみましょう*1。「さくらさくら」は日本の代表的な音楽で、作曲者は不詳です。全体的にゆるやかなメロディーなので入力しやすい曲です(図1)。

 なお、練習用に中盤部分を省略しています。またさくらさくらには複数の歌詞が存在していますが、今回の歌詞は教科書などで紹介されているものを参考にします。

ノートデータを入力する

 UTAUを起動し、メニューバーの「ファイル」-「新規作成」を選び、鉛筆ツールボタンをクリックして楽譜(ノートデータ)を入力できる状態にします*2

 まずツールバーにある「Tempo」項目を「75」に変更します。0小節目に4分休符の「R」を4つ挿入します(図2)。これは0小節目からノートデータを入力すると、最後に歌声をサウンドファイルとして書き出したときに、イントロの発音タイミングが若干ずれてしまうためです。

図2 テンポと0小節目の設定
図2 テンポと0小節目の設定
「Tempo」項目を「75」に変更します。0小節目に4分休符の「R」を4つ挿入します。

 途中で4分音符と8分音符を使い分けて入力する部分があります。8分音符を使うのは「野山も里も」の「と」、「見渡す限り」の「ぎ」、「花盛り」の「ざ」、の3カ所です。このような場合はツールバーの「Length」を「L8 8分音符」にして入力しましょう。合わせて「Quantize」も「L8 8分音符」に変更しておくと、グリッドが8分音符単位になって作業しやすくなります(図3)。

図3 「Length」と「Quantize」の設定
図3 「Length」と「Quantize」の設定
グリッドが8分音符単位になり作業しやすくなります。
図4 鍵盤の位置
図4 鍵盤の位置
「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ♭」と、1オクターブ上の「レ」「ミ」「ファ」を使用します。

 この状態で音程に合わせて「さくらさくら」「野山も里も」「見渡す限り」「花盛り」のフレーズに分けて入力してみましょう。この歌で使用する鍵盤の位置は図4のようになります。

 「さくらさくら」の音程は「レレミレレミ」になります。「ミ」の音は2分音符で入力します。入力例は本誌付録DVDの「phrase01.ust」です。

 次の「野山も里も」ですが、音程は「レミファミレミレシ♭」になります。後半の「ミレ」は、8分音符で入力します。最後の「シ♭」は2分音符での入力です。入力例は「phrase02.ust」です。

 「見渡す限り」の音程は「ラファラシ♭ララファミ」で、こちらも途中「ラファ」の部分で8分音符の入力があります。ここも最後の「ミ」は2分音符です。入力例は「phrase03.ust」になります。

 その後の「さくらさくら」は、最初の部分と同じフレーズです。先ほど入力した「さくらさくら」の部分をまるごと矢印ツールで選択してコピーします。制作している曲の終わりの空白部分をクリックすると、ペーストされます。

 最後の「花盛り」の音程は「ソラミレシ♭ラ」です。ここでも「ミレ」が8分音符で、最後の「ラ」は全音符となっています。入力例は「phrase04.ust」です。