身の回りには、バーコードからICタグ、様々なサービスへログインするためのIDなど、対象を別の対象と区別するためのIDが溢れている。本書はそんな様々なIDの仕組みや読み取り技術を解説した本だ。

 JANコードやクレジット番号、バーコードやICタグなどが、どうやって個体を識別しているのかを丁寧に解説。普段見慣れたこれらのIDの裏に、対象を識別するための広大な体系が潜んでいることに好奇心をかき立てられる。

 本書には「日本の郵便には、目に見えない特殊インクで配送情報を表すバーコードが印刷されている」など、あまり知られていないIDにまつわるエピソードも豊富に盛り込まれていて、読んでいて飽きない。中でも「バーコードアート」なるバーコードを用いたイラストのジャンルがあることには驚いた。多少の汚れがあっても読み取れてしまうバーコードの特性を生かした作品であり、一見の価値がある。

IDの秘密

IDの秘密
佐藤一郎著
丸善出版発行
798円(税込)