写真1●ファーストサーバの障害に関する最終報告書。要約版は全16ページ
写真1●ファーストサーバの障害に関する最終報告書。要約版は全16ページ
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写真2●ファーストサーバ事故の影響を受けた長野電鉄のホームページには、今もサービス停止の謝罪文が残る
写真2●ファーストサーバ事故の影響を受けた長野電鉄のホームページには、今もサービス停止の謝罪文が残る
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 ヤフー子会社でレンタルサーバー/クラウドサービスを手がけるファーストサーバは今週、6月20日に発生した大規模システム障害に関する第三者調査委員会による最終報告書をWebサイトで公表した(写真1)。報告書では、サーバーのメンテナンスに際して、特定の担当者がデータ削除コマンドを含む誤ったプログラムを実行してしまい、気付いた時には多くのデータが消失していたという経緯が生々しく記述されている。

 Twitter上でも論議を呼び、ITproで最終報告を報じた記事の「この記事に対するつぶやき」欄に様々な意見が投稿されている。ファーストサーバに対する批判だけではなく、「他でもありがちな問題」「マニュアル万能とは限らない」といった趣旨のコメントも目立つ。担当者の責任を重くみる報告書の内容に違和感を持つ読者も少なくない。

 いずれにしても、データ消失という前代未聞の障害で約5700社(契約数)に影響を与えた結果は重大だ。小林製薬や長野電鉄など、ファーストサーバのサービスを利用していた企業ではWebサイトが閲覧できない状態になった。今も被害企業のWebサイトには謝罪文が残る(写真2)。

 調査が一段落したことで、今後の焦点は損害賠償の支払いなどに移る。親会社のヤフーは2012年4~6月期連結決算で12億2900万円の「システム事故関連損失」を特別損失として計上した。同期に経常利益427億7100万円を稼ぎ出したヤフーにとって、必ずしも大きな負担ではない。