中央政府のシステムだけではない。地方自治体向けには、韓国地域情報開発院(KLID)が自治体向け共通の業務ソフトウエアを開発し、自治体に無償で配布している。NIAが国家の情報化戦略を担当、KLIDは地方自治体の情報化戦略を担うという役割分担だ。

 韓国も以前は日本と同じく、自治体ごとにシステムを開発していた。「ITベンダーが地域ごとに縄張りを作っていた」と、KLIDのジョン・チャンソブ院長は語る。

 自治体が共通のソフトを利用する今の方式が確立したのは2003年。「ベンダー間で漢字コードの互換性がなかったので、文字コードをUTF-8で統一、外字コードも標準化するなど地道な努力を重ねた」(ジョン院長)結果、自治体の業務ソフトを集中開発する今の体制を実現できた。

 税の種類や税率など、地方自治体ごとに異なる項目はパラメータ設定で対応できるほか、KLIDが開発したビジネスルール管理システム(BRMS)で機能を追加しやすくしている。業務ソフトの開発や保守を担当するITベンダーを1年に1回は変更する仕組みを導入し、特定ベンダーによる囲い込みを防いでいる。「ベンダー管理の手法を文書化しており、ITベンダーを変えても一切差し支えない」(ジョン院長)。