前回の記事では、筆者がリードデジタルストラテジストとして所属していたバーソン・マーステラで、毎年実施している企業のソーシャルメディア活用に関する世界的な調査の結果について紹介した。今回は、この調査結果から見えることと、そして今現在日本で改めて語られ始めている企業のソーシャルメディア活用のあり方について、もう少し深く掘り下げてみよう。

日本では異動や組織変更時にアカウントが閉鎖されるケースも

 さて、本連載を読んでいる読者は、日本経済新聞のWebサイトで公開している『「休止アカウント」続出、運用体制問われる企業』という記事も、おそらくチェックしているだろう。この記事は、担当者の異動により、Twitterの公式アカウントが閉鎖される事態が発生しているということを紹介したものだ。

 確かに、特に企業によって運営されているTwitterアカウントなどを見ていると、最近になって「休止」となるアカウントが少なからず見受けられる。もっとも、これは別に今に始まったことではない。よく観察すればわかるが、毎年1月、4月、7月、10月と、いわゆる四半期の区切りで「休止」となるケースは意外と多く見かけられる。

 もちろん、これは先ほどの記事に述べられているように、人事異動や組織変更、あるいは転職や退職などによる影響を強く受けているからだと考えられる。こういった動きによる影響を最小限にとどめるために、まずは「ソーシャルメディアの運営体制」をきちんと確立させるということが必要になってくる。

 だが、はたして「運営体制」を整えるだけで十分なのだろうか? そこで今回は、前回に紹介した「グローバル・ソーシャルメディア・チェックアップ」から見えてくる傾向を考えながら、改めて「企業にとってのソーシャルメディア」というものを考えてみたい。