ERP(統合基幹業務システム)ベンダーなどの国産各社が、企業内の人材を戦略的に活用するタレントマネジメントに本腰を入れ始めた。キヤノンITソリューションズ傘下のスーパーストリームが8月に新製品を投入し参入。ERP国内大手のワークスアプリケーションズは、海外向け機能の追加を機に対応を本格化した。中小ベンダーも機能強化を急ぐ()。

表●国内の主なタレントマネジメント製品の特徴と強化点
[画像のクリックで拡大表示]

 スーパーストリームがERP「SuperStream-NX」シリーズとして投入するタレントマネジメント製品は、役職ごとに求められるスキルや能力を定義したうえで、従業員が保有するスキルを登録・管理する機能を備える。経営層や人事担当者、部門長などが全社やグループ内から最適な人材を探し出せるようにするのが狙いだ。「国内企業でも、海外のように仕事内容や個人のスキルを明確にする動きが出てきた」と山田誠マーケティング企画部部長は話す。

 既存顧客に対し、同社の会計パッケージと従業員のマスターデータベースを共有できる点を訴求していく。今後1年間で100社の導入を目指す。

 ワークスは人材の能力把握や育成管理といった、タレントマネジメントに必要な基本機能を既に提供しているが、「これまでタレントマネジメントという側面を押し出していなかった」(製品開発本部の竹市栄治ゼネラルマネジャー)。しかし、ここに来てグローバル対応のニーズが高まっており、「海外を含む全社的な人材活用を図る日本企業への売り込みを強化していく」(同)とする。

 今春には海外対応を支援する機能を強化した。海外拠点をはじめ遠隔地からネット経由で人材データをアップロードできる機能を追加。さらに役員や従業員の役職を二重に管理できるようにした。各国の職位に加えて、グローバルで統一した職位で人材を登録・検索可能にするのが狙いだ。

 中小ベンダーは組織を重視する日本的な人材活用機能で差異化を図る。インフォテクノスコンサルティングの「Rosic人材マネジメントシステム」は、部署ごとの年齢構成やその経年変化など、組織の軸で可視化や分析ができる機能を順次強化。サイエンティアの「スマートカンパニー」は、従業員評価の部署間でのバラツキを調整するといった機能を提供する。今年度中に人事関連の届け出を処理するワークフロー機能を追加し、人材・人事管理を包括的に支援していく計画だ。