POS(販売時点情報管理)システムの端末をモバイル化する動きが活発だ。端末にiPadやAndroid端末を利用する、いわゆる「モバイルPOS」を、NECや日本NCR、富士通など大手ベンダーも提供し始めた()。

表●タブレット端末連携や事業買収などでPOSシステムの強化を進める主なベンダー
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 モバイル化の手法は大きく二つある。一つは既存のPOS端末をスマートフォンやタブレット端末と連携させる。もう一つはPOS端末そのものを、スマホやタブレット端末に置き換えることだ。

 富士通がこの7月に、富士通フロンテックを通じて出荷を開始した「TeamStore/S モバイルソリューション」は、Android端末「ARROWS Tab Wi-Fi」を従来の専用POS端末と連携させるソフトウエアだ。専用POS端末は、従来通りレジカウンターに設置しておき、店員はAndroid端末を持ち歩く。店舗のどこでもAndroid端末を操作し、接客をしながら商品情報を参照したり、会計したりする。

 日本NCRの「モバイルPOS」は、同様の仕組みをiPhoneまたはiPadを使って実現する。専用POS端末と連携するためのアプリを提供。iPhoneで、クレジットカードの決済をすることも可能だ。

 一方、専用POS端末をスマホやタブレット端末で置き換えるのが、NECである。安価な端末を活用し、さらにPOSシステムのサーバーアプリケーションをクラウド経由で提供することで、コストを削減する。AndroidまたはiPhone、iPad用のアプリを提供し、クラウド上のPOSシステムと連携させる仕組みだ。

 専用端末ではないため、比較的導入も簡単だ。設置スペースはもちろん、POS端末用の通信回線を敷設する手間も削減できる。

 モバイルPOSの分野は、これまでベンチャー企業が市場を開拓してきた。

 例えばユビレジは、iPad用モバイルPOSアプリと、クラウド上で動作するPOSシステムを提供しており、すでに2000店舗の導入実績があるという。同社は7月に、米セールスフォース・ドットコムとの業務提携を発表。ユビレジのクラウドサービスを、セールスフォースのクラウド基盤に移行し、機能を強化する。売り上げ情報と顧客情報を連携させたり、在庫管理システムと連携させたりする。

 新規参入の動きもある。例えばインターネットイニシアティブは7月1日に、「IIJ Smart POSサービス」の提供を始めた。売り上げデータ管理に加え、顧客管理やポイント管理、端末管理機能などを、IIJのクラウド上のPOSシステムから提供する。様々なベンダーの参入により、競争が激化しそうだ。