クロスケーブルは もう要らないの?

(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

  今回の回答者:
アンリツネットワークス
取締役 常務執行役員 第2技術部長
岩崎 有平

 LANケーブルには、ケーブル内の信号線の配列によって「ストレートケーブル」と「クロスケーブル」の2種類があります。ただし最近は、ネットワークを構築する際にクロスケーブルを使うことは、まずありません。クロスケーブルは、ほぼ要らなくなったといえます。

 現在一般的に使われている銅線のLANケーブルは、内部に信号線が8本入っています。ストレートケーブルは両端にある端子の同じピンをつなぐように信号線が並んでいて、クロスケーブルは受信用と送信用の信号線が交差しています。

 このようになっているのは、LANスイッチのポートとパソコンのLANポートで、受信用と送信用のピンの配置が逆になっているからです。信号が相手の受信用のピンに届くようにするには、LANスイッチとパソコンをつなぐときはストレートケーブルを、LANスイッチ同士をつなぐときはクロスケーブルを使うのです。

 一般的なネットワークでは、パソコンの数が多くなるとストレートケーブルの数も増えます。そうするとストレートケーブルだけでネットワークを作りたいというニーズが出てきます。そこで一時期、ストレートケーブルで多段接続できるLANスイッチも登場しました。しかし、スイッチ間を複数のLANケーブルでつないだり、LANスイッチをループ状に接続する場面では、クロスケーブルが必要でした。

 状況が大きく変化したのは2000年前後です。通信相手のポートやLANケーブルの種類を自動判別して通信を可能にする「オートMDI/MDI-X」と呼ぶ機能が登場しました。今ではほとんどの機器がこの機能を搭載しており、LANケーブルはストレートでもクロスでも構わなくなりました。また、ギガビットイーサネットの場合、自動判別の仕組みが仕様に盛り込まれているので、ますますケーブルの種類を気にする必要はなくなっています。