こんにちは、ゴール・システム・コンサルティングの村上悟です。今日から4回連載で、「対人スキルを磨く、Win-Winの仕事術」と題して、「自分らしく生きて、スイスイ仕事を片付け、対人スキルの達人になる方法」という欲張ったテーマの話を進めていきますのでよろしくお願いします。

 ある調査(マイナビ)によれば20代のビジネスパーソンの4人に1人が上司や同僚などといった、社内で一番身近にいる人が「最大の敵」だと考えているそうです。本来ライバル会社と戦うために結束しなければならない身内を敵だと考える、これにはちょっとびっくりですね。

 しかし一方でアニメのONE PIECE(ワンピース)が記録的なヒットを記録するなど、昔ながらの「友情」「仲間」というキーワードも、廃れることのないテーマです。この「本音と建て前のギャップ」とでも言うべき乖離はますます大きくなってきているような気がしますが、皆さんはどう感じておられるでしょうか。

 「仕事は仕事、プライベートとは別、だから関係ないんだ」…でもそんなことはありません、最近記録的な上場を果たした米フェイスブックは「つながる」をコンセプトに世界7億人がビジネス、プライベートの垣根なくつながっています。

 本連載は、日常的に上司・同僚とうまくいかない、どうもカラ回りする、人脈が築けない、気がついたら自分を追い込んでしまう、そんなあなたに贈る対人関係構築の仕事術です。

TOCって知ってますか?

 さて、皆さんはTOC(制約理論)という経営手法をご存じでしょうか。TOCは10年ほど前にベストセラーとなったビジネス小説『ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か』(ダイヤモンド社)で日本に紹介された考え方で、仕事やシステムは、その能力の一番弱いところ(ボトルネック)を探して強化すれば万事うまくいくという、重点化、集中化の手法です。

 この連載ではTOCのボトルネックという考え方を皆さんの現実の仕事に当てはめ、人は「思考のボトルネック」(ここでは「物事が改善しない状況を自ら生み出す思いこみや固定観念」という意味に捉えてください)にはまるということ、どうすればそこから抜け出して、問題を解決しより良い対人関係を構築できるかを順番に考えていきます。

 そして今回紹介するのは、TOC手法の中で、複雑な問題をWin-Winで解決する「TOC思考プロセス(Thinking Process)」という方法論です。TOCが主張しているのは、人間はそもそも正しい答を導く能力を持っているのだから、行動を制約している「思考のボトルネック」を正しく認識し、手順を踏んで解決すれば、複雑な問題も芋づる式に解いていけるということなのです。