韓国の通信最大手であるKTは日系企業へのDCサービス提供のため、ソフトバンクテレコムとの合弁会社kt-SBデータサービスを2011年9月に設立。KTが51%を出資するkt-SBは2012年1月、釜山に隣接する金海市にデータセンター(DC)を開設しサービスを開始した。KTの朴浚植シニアバイスプレジデントとkt-SBの張赫均CEOに、狙いや手ごたえを聞いた。

(聞き手は宗像 誠之=日経コンピュータ



日系企業が、釜山のDCを使うメリットは何か?

写真7●KTの朴浚植シニアバイスプレジデント

:移動時間の短さや地震が少ないといった地理的な好条件、サービス品質、コストの安さなどだ。釜山近郊は日本から飛行機で2時間程度と、日本国内の移動と変わらない場所にある。しかも地震がほとんどない。通信環境やDCサービスの品質も日本とほぼ同等だ。東京と釜山の間の通信遅延は、往復で20ミリsecに過ぎない。日本のデータセンター(DC)と同じ感覚で使えるはずだ。一方で、電力料金は日本の約半分なので、DCのラック単価は日本比で4~5割安く提供できる。

:釜山近郊の場所としての魅力だけでなく、韓国のDC市場最大手のKTが所有するDCを使える点もアピールポイントだ。KTは韓国内に9カ所のDCを所有し運用している実績がある。韓国でのクラウドサービスの普及を主導する立場にあり、技術力があり、人材も豊富だ。韓国でこのような実績を持つKTと、日本での営業力を持つソフトバンクグループがDC事業で提携する意義は大きい。kt-SBには、KTとソフトバンクテレコムの両社から人材が送り込まれており、日系企業が韓国のDCを安心して使える環境を整えている。

日本企業からの引き合いはどうか?

写真8●kt-SBデータサービスの張赫均CEO

:商談中のものは200件程度に上る。日本のシステムのデータをバックアップする用途だけではなく、これから韓国で事業を強化しようとしている日系企業も興味を示している。業種も製造業やサービス業、ネット企業など幅広い企業から問い合わせが来ている。それだけではなく、既に20社弱の大手日系企業の幹部が視察にも来ており、関心の高さを改めて感じた。