前回の上岩データセンター(DC)に続いて、LG CNSがソウルで開設しているもう一つのDC「加山DC」を紹介しよう。割安な料金で提供し、カスタマイズ対応なども可能な柔軟性の高さが特徴だ。

日本より約3割安い利用料金

写真5●加山DCの外観
写真5●加山DCの外観
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 前回紹介した上岩データセンター(DC)がある「デジタルメディアシティー」から南下して漢江を渡り、さらに南へ進むとLG CNSの「加山DC」に到着する(写真5)。

 加山DCではITサービスやネット企業の大規模利用などを主に想定しており、割安な料金で提供し、カスタマイズ対応なども可能な柔軟性の高さが特徴だ。Tierレベルは「3」で、日本の標準的なDCと比べ信頼性はほぼ同等といえる。しかし利用料金は日本比で3割程度は安いようだ。このため、バックアップ用途での利用も多いという。

写真6●加山DCのサーバールームの様子
写真6●加山DCのサーバールームの様子
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 加山DCは2009年4月に完成した、地下1階・地上13階のビルである。オフィスエリアを含むものの、延べ床面積は7万5041平方メートルと巨大である。上岩DCに比べるとサーバールームの天井が高いなどの構造的な特徴を持つため、電源や通信用などのケーブル配線のやり方を変えたり、標準よりも大きいサイズのラックを設置したりするなど、ユーザーごとのカスタマイズ対応が可能だという(写真6)。

金融機関を含む15社が利用中

 加山DCは2012年6月時点でネット企業など15社程度が利用中。このなかには日系の大手金融機関の韓国現地法人も含まれる。日系企業の現地法人は、韓国拠点での業務システムのバックアップ用途として同DCを利用している。

 LG CNSは、標準以上の高い信頼性を求めるユーザーには上岩DCを、標準的な信頼性で割安さを重視するユーザーには加山DCを提案している。ハウジングや運用サービスなどのメニューは両DCともに、ほぼ同様。上岩DCと加山DCはビル間接続しており、一方でのネットワーク障害発生時には相互にバックアップできるようになっている。

 LG CNSはこのほか、ソウルの隣の仁川にもDCを開設している。ただ、同DCはLGグループの企業の業務システムを運用するグループ用という位置付けで、外販はしていないという。