LG CNSが日本を含む海外企業へ大々的に売り込もうとしている釜山データセンター(DC)は2012年12月の開業予定で、まだ建設中である。韓国におけるDCの実力を知るには、既に開業しているソウルのDCの運用状況や実績の調査が必要だ。韓国の大手IT企業が運営するDCはどのようなものなのか。LG CNSがソウルで開設している二か所のDCについて、連載2回目と3回目で紹介しよう。

原発並みの信頼性で設計

写真3●上岩DCの外観
写真3●上岩DCの外観
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 ソウルの代表的な繁華街である明洞から、車で西に15分程度。IT企業やメディア企業の拠点が集まる「デジタルメディアシティー」と呼ばれるエリアの一角に、LG CNSの旗艦DCがそびえ立つ。その信頼性の高さから、「韓国屈指」、「韓国最高水準」などと紹介されることが多い「上岩DC」である(写真3)。

 地震がほとんどない韓国にも関わらず、このDCは原子力発電所レベルの耐震設計を採用。当初から、金融機関や政府系の基幹システムの運用をターゲットとし、電源設備などはすべて二重化している。DCの信頼性基準で、1から4であらわすTierレベルは「3+」。建物は地下4階、地上12階建て。延べ床面積:4万3808平方メートルにもなる大規模DCである。

 DC内に入るには事前登録が必要で、IDや静脈認証によるチェックも必須。登録者ごとにDC内に入るときと出るときの体重を調べるシステムも配備しており、機器の不正持ち出しなども検知できる。このように、セキュリティーチェックは日本と同等。整然とラックが並ぶサーバールームから、空調や自家発電装置などの設備の配備状況まで、日本にあるDCと変わらなかった。