LGグループのシステム会社であるLG CNSは、ソウルに二カ所、仁川に一カ所のデータセンター(DC)を所有する。今後もDC事業を強化する方針で、日系企業や海外企業へ売り込むための新DCを2012年12月に釜山で開業予定。シンガポールや香港に対抗できるアジアのDCハブとして釜山をアピールしていく計画だ。LG CNSの金泰克シニアバイスプレジデントに、釜山や韓国のデータセンターの魅力について聞いた。

(聞き手は宗像 誠之=日経コンピュータ



写真1●LG CNSの金泰克シニアバイスプレジデント

なぜ今、韓国は釜山をアジアのデータセンター(DC)ハブとして売り出し始めたのか?

 これまで韓国のDCはソウル近郊が多かった。人口も企業もソウルに集まっていたため、国内市場向けのDCを作るなら、ソウルが中心になるのは当然だった。

 釜山のDCも当初は、ソウルにあるDCのバックアップの位置付けなど国内市場向けに検討が始まった。だが、大規模DCやクラウド事業者などを誘致する特区を作る構想が2010年に釜山市が主導して持ち上がった際に、発想の転換がなされた。釜山は海底ケーブルの主要な陸揚げポイントであり、ここに世界基準の信頼性を持つ大規模DCを作れば、海外の企業に使ってもらえるはずと考えた。日本では東日本大震災が起こり、海外のDCへのバックアップ機運が高まったことも大きい。

 LG CNSは釜山市と連携し釜山での大規模DCの建設に着手した。延床面積が3万2322平方メートルで、信頼性の基準を表すTierレベルは「3+」となるDCを、2012年12月に釜山で開業予定だ。