第1回　アプリマーケットが持つさまざまなランキングの特性を知る

　スマートフォンのアプリマーケット動向を知るうえで重要なのがランキングである。マーケット上に登録されているアプリが数十万単位となるなど膨大な数にのぼることから、ユーザーがアプリの存在を知る導線として、ランキングを強く意識する傾向が強いためだ。それゆえ多くのスマートフォンアプリ開発者は、各アプリマーケットのランキングの動向をチェックし、アプリの販売動向や、人気の潮流などを探る際の参考にしている。

　しかしながら、アプリマーケット上にはさまざまな種類のランキングが用意されている。そのため、頻繁にチェックするという人でもない限り、どのランキングを、どのような角度からチェックすればいいのか、というのが分かりにくい。そこで第1回は、米Appleが展開するiOS向けの「App Store」、米GoogleのAndroid向けの「Google Play」の二つのマーケットにおけるランキングの基本的な見方を説明する。

　スマートフォンのアプリマーケットにおける総合的なランキングは、大きく分けて3種類用意されている。（1）有料アプリのダウンロード数を基にしたランキング、（2）無料アプリのダウンロード数を基にしたランキング、（3）アプリの売り上げを基にしたランキングだ。米AppleのApp Storeの場合、（1）は「トップ有料」、（2）は「トップ無料」、（3）は「トップセールス」という名称が付いている。Google Playについては後述する。

　これらの各ランキングにランクインしているアプリは、その内容からアプリのジャンルに至るまで、大きく異なる傾向が見られる。その理由は、各ランキングに入っているアプリが採用している課金方法にあるといえるだろう。

なぜ無料通話の「LINE」がトップセールスにランクインするのか

　アプリマーケットが標準で用意しているアプリの課金方法は、大きく分けて二つ用意されている。一つは、通常の商品と同じように「1本当たりいくら」で販売する「ダウンロード課金」。もう一つはアプリを入手する時ではなく、アプリの中で使用するプラグインやアイテム、チケットなどを購入する時に課金する「アプリ内課金」である。

　ダウンロード課金を採用したアプリの販売動向は、アプリのダウンロード数を見ればチェックできるが、アプリ内課金を採用したアプリは無料で提供されていることも多く、ダウンロード数だけでは動向が把握しづらい。それゆえ、アプリ全体の売り上げを比べるランキングが設けられるようになったと考えられる。

　こうしたことから、ダウンロード課金型アプリの動向をチェックするには有料アプリのダウンロード数ランキングである「トップ有料」を、アプリ内課金型アプリの動向をチェックするには売り上げランキングである「トップセールス」をチェックすればよい、ということになる。アプリ内課金型アプリは、ダウンロード自体は無料のものも多いため、「トップセールス」には多くの無料アプリもランクインしている。

写真●「LINE」のスタンプショップ

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　例えば無料で通話・チャットができるアプリとして登録ユーザー数が全世界で5000万を突破したNHN Japanの「LINE」は、アプリ自体も無料でダウンロードできる。そのため、アプリ自体の勢いを知るには無料アプリのダウンロード数を基にした「トップ無料」のランキングをチェックすればよい。7月26日時点では上位20位内にランクインしていることが分かる。

　一方、アプリとしては無料とはいえ、LINEではチャット（「トーク」）時に画面に貼りつける「スタンプ」として、無料のものだけでなく有料版を用意。アプリ内の「スタンプショップ」で販売している（写真）。7月26日時点でLINEが「トップセールス」の10位にランクインしているのは、このスタンプの売り上げがあるからだ。

　ちなみにいずれのランキングも、アプリ内広告による収益がランキングに影響することはないので、広告を用いたアプリの動向を知るには、無料アプリのダウンロードランキングを調査するのが妥当だ。