日本IBMとスルガ銀行のシステム開発に関わる訴訟で、日本IBMが74億円の賠償金を命じられる判決が出たことは記憶に新しい。報道などで判決書の内容も明らかになり、日本IBMがプロジェクトマネジメント義務違反を認定されたことについて、多様な議論がなされている。

 この訴訟に限らず、システムの開発や運用では、ベンダーとユーザーの間で数多くのトラブルが起こり、訴訟にまで発展する。本書は、さまざまな訴訟の判例を題材に、システムの開発や運用における法律問題を解説。具体的な事例を基にしているので、ユーザーやベンダーそれぞれの責任範囲や権利を理解しやすい。「訴訟は法務部門や営業部門の問題」と思うのは間違い。開発成果物に瑕疵があった場合や稼働中のシステムに障害が起こった場合にどんな責任を問われるのかを知っておくことは、開発・運用現場のITエンジニアが仕事を進める上でも役立つだろう。

システム担当者のための法律相談

システム担当者のための法律相談
松島 淳也著
インプレスジャパン発行
1890円(税込)