ITの主役となるコンピュータは時代と共に変わる。メインフレームが主役だった時代もあれば、パーソナルコンピュータ(PC)が主役の時代もあった。そして今の米国IT大手企業の動きを見ると、パソコン(PC)に代わって、iPhone、iPad、Android搭載デバイスに代表される「スマートデバイス」がITの主役の座を占めようとしているように見える(図1)。

図1●Apple、Google、Microsoftの売上げ推移
Appleの伸びが突出しているのはスマートデバイスの波にいち早く乗ることができたためだ
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 今、最も多くの台数が出回るコンピュータはスマートデバイスだ。米調査会社Gartnerの調査では、2012年1-3月期のPC出荷台数は世界全体で8900万台なのに対して、Androidスマートフォンは8100万台、iOS搭載スマートフォン(iPhone)は3300万台が出荷されている。AndroidスマートフォンとiPhoneを合わせた数字は3カ月で1億1400万台とPC出荷台数をはるかに上回る。

 最も進化が速いコンピュータもスマートデバイスだ。iOSは1年に1回、Androidは半年に1回程度の頻度でメジャーアップデートが行われている。ハードウエアの進化も速い。iPhoneは1年1回の新機種を登場させている。Androidスマートフォンの分野でも、半年ごとに心臓部といえるSoC(System-on-a-Chip)が新しくなった新機種が登場する光景が見慣れたものとなった。

 PCが台頭した時期、多くの人々がPCを「おもちゃ」と認識していたが、結局のところPCはIT産業を大きく変えた。スマートデバイスがどのようにIT産業を変えるのかを予測し尽くすことは不可能だ。だが、スマートデバイスが「何者なのか」はよく見ておく必要がある。ITに関わる人々にとっては、スマートデバイスにどのように取り組むかで未来が大きく変わる可能性がある。

 Appleの開発者会議WWDC 2012(関連記事:次世代MacBook ProやiOS 6など発表、講演内容を時系列でレビュー)、Microsoftの新製品発表イベント(関連記事:MSブランドのタブレット“Surface”、なるかiPadへの巻き返し)、そしてGoogleの開発者会議Google I/O 2012(関連記事:Googleも独自タブレット)がこの2012年6月、相次いで開催された。各社の最新情報を見ながら、スマートデバイスの世界の動きを解説する。