村上氏写真

村上 智彦(むらかみ・ともひこ)

 1961年、北海道歌登村(現・枝幸町)生まれ。金沢医科大学卒業後、自治医大に入局。2000年、旧・瀬棚町(北海道)の町立診療所の所長に就任。夕張市立総合病院の閉鎖に伴い、07年4月、医療法人財団「夕張希望の杜」を設立し理事長に就任同時に、財団が運営する夕張医療センターのセンター長に就任。2012年5月退任。近著書に『村上スキーム』。
 このコラムは、無料メールマガジン「夕張市立総合病院を引き継いだ『夕張希望の杜』の毎日」の連載コラム「村上智彦が書く、今日の夕張希望の杜」を1カ月分まとめて転載したものです(それぞれの日付はメールマガジンの配信日です)。運営コストを除いた広告掲載料が「夕張希望の杜」に寄付されます。

2012年6月4日(地域支援活動)

 最近、肩書が取れたおかげで、なかなかここを離れられなかったり、できなかったことが、随分とできるようになりました。信じられないという人もいますが、これでも今まで背負うものがあったので、随分遠慮してきたつもりです。今は一介の地域で働く医師という立場になりましたので、今後は遠慮なく思った通りに行動させていただきます。

 特に、問題が起こるとここぞとばかりに付け込んでくる人種がいますが、今度は個人、住民、納税者という立場ですので、遠慮しないで反撃できます。人を批判することでしか自分の存在をアピールできない輩(やから)が一番地域をだめにしていますので、そんな人達には特に遠慮したくありません。今までかなり経験を積んできたおかげで、随分鍛えられておりますので楽しみです。

 本当に以前に比べると随分自由な時間が出来ました。先日は私が「親分」と呼んでいる、地域医療の大先輩である十勝の医療機関の支援に出かけました。普通に外来をやっていると顔を見て驚く人もいますが、いつものように仕事をするだけです。今後は拠点も増えて、新たな開拓も増えてきますので、本来やりたかったことができるようになると思います。

 夕張の職場も今まで多職種連携を進めてきたおかげで、優秀な人材が育ち、皆さん自立して仕事をしています。いつまでも同じ人が活躍していては、思考も進歩も止まってしまいます。多くの人達が「安定」を望みますが、安定させるべきものはサービスの提供であって、職場の人材や仕組みを安定させても、必ずしも提供するサービスは安定しません。

 時代も対象も制度も変わっていく中で、いかに変化に柔軟に敏速に対応できるかが大切だと思います。最終的には地元の職員が、医療者の集まりやすいような環境を作り、地域を支えていくべきです。その辺の話はこの5年間ずっとしてきたので、案外理解されているようです。

 さて、メールマガジンも230回を超えました。随分頑張って書き続けてきました。もちろん時間的には以前よりは余裕もできて書き続けることは可能なのですが、せっかくの機会ですので、同じことを続けるのではなく、形を変えて情報発信をしたいと考えています。

     今後新たな展開の中で、
  • 在宅医療を地域に広げていくためのノウハウ
  • 公的機関をダウンサイジングして職員を民間のように仕事をさせていくノウハウ
  • 多職種連携の中で給与体系を変えていくノウハウ
  • 地域で研究をするためのノウハウ
  • 地域で医師や看護師を集めるためのノウハウ
  • 多職種連携のためのノウハウ
  • 訪問看護の立ち上げから軌道に乗せるためのノウハウ
  • 老健の運営に関するノウハウ
  • 予防医療の推進に関するノウハウ
  • 町創りの中で医療を考えていくノウハウ
  • など、様々な分野のノウハウや実績が蓄積されてきました。

 現在内容を検討中ですが、今後は別の形でこのようなノウハウや経験を提供する機会を作っていきたいと思います。具体的に決まりましたら、お知らせしたいと思います。