中国製Android タブレット端末の魅力が急速に増している。品質や性能面の向上が著しく、2年前に「中華Pad」と揶揄(やゆ)されていた頃とは一線を画す状況だ。特に動画再生性能の高さには目をみはるものがある。

写真1 Haipad i7
写真1 Haipad i7
厚さ8.5mm、重量290gの軽量薄型Android 4.0端末。1GHzのA10、1Gバイトの主メモリーを搭載する。

 低価格だが性能や品質が低く実用に耐えない――。そんな「中華Pad」のイメージが覆りつつある。2011年末頃から、軽量で高性能な端末が続々と発売されているからだ。

 イメージアップに大きく寄与したのが、2011年秋頃からアジア製タブレット製品の多くで採用されている中国Allwinner Technology社(全志科技)のSoC(システムLSI)「Allwinner A10」(以下、A10)。A10のCPUコアは、1GHz動作のCortex-A8(ARMv7-Aアーキテクチャー)で、それほど高性能とは言えないが、2160p動画の再生に対応するなど強力な動画再生支援機能を持つのが大きな特徴。A10採用のタブレット端末ならば、PC向けにエンコードしたフルHDのMP4動画をそのまま再生できる。販売価格が1万5000円程度の低価格端末としては破格の性能であり、大きな魅力となっている。

 実際にA10採用タブレット端末を使用してみると、シングルコアCPUのためにバックグラウンドタスクの稼働状況によっては処理性能の低さを感じることもある。しかしそれを補って余りあるのは、その動画再生性能の高さだ。フルHD動画をストレスなく再生できることから、動画再生端末としての実用性が高い。

写真2 HYUNDAI A7HD
写真2 HYUNDAI A7HD
厚さ8.9mm、重量270gの軽量薄型Android 4.0端末。1GHzのA10、1Gバイトの主メモリーを搭載する。

 端末の品質やデザイン向上も著しい。中国HAIPAD社の「Haipad i7」(写真1)や中国Toptech Technology社が韓国現代ブランドで販売する「HYUNDAI A7HD」(写真2)のように、厚さ9mmを切り、重量も290gを切る製品などが登場している状況だ。

 それでいてA10搭載タブレット端末の価格は1万~1万5000円と低価格だ。端末価格を抑えられる大きな要因は、A10自体の価格が7ドル程度(大量購入時価格)と安価なことにある。A10の機能削減版に相当する「Allwinner A13」(以下、A13)に至ってはわずか5ドル程度(こちらも大量購入時の価格)である。

 なおA13の対応動画形式は1080pまで、主メモリーの上限は512Mバイトとなっている。SATA/IDEインタフェースやHDMI出力が省略されているという違いもあるため、端末選択の際には注意を要する。