放送局にとってコンテンツ制作力の強さを発揮する場面は、テレビ番組を作るだけではない。エンターテインメントの演出を得意とする放送局は、あらゆるジャンルのコンテンツで、制作力の強さを発揮していくことが可能である。その典型として早々に成功してみせてきたのが映画製作である。

 そして今着目すべきなのが、フジテレビゲームスであろう。単純な制作力の高さでなく、演出の妙も込められており、ジャンルの違いを超えてゲーム自体がとても魅力あふれるものとなっている。フジテレビのゲームは、モバイルだけではなく、パソコン向けにも提供しており、次々とヒット作を出している。世界中で大ヒットを記録するものも多くあり、その成功は十分に評価されてしかるべきである。もはや、本業の一つと言ってもよいレベルで、今後のさらなる発展が見込めそうな実績を着実に積み重ねている状況にある。

 コンテンツの海外展開は、今の放送業界における大きな課題であるが、言語や文化、物価の違いもあり、そう簡単ではないことが指摘され続けてきた。広くコンテンツというくくりで考えれば、ゲームは非常に有望なジャンルである。日本において、いわゆるテレビゲームとしてスタートしてからの流れを大まかに見ると、ブロック崩しのような単純なものから、RPG(ロールプレイングゲーム)へ、そしてオンラインゲーム、ソーシャルゲームへというように技術の向上とも相まって主流となるものも変遷してきた。ただし、海外展開でも成功させることを展望すれば、日本でも決して人気が衰えたわけでないジャンルのゲームであれば、国内でも海外でも受け入れられるということは再認識しておく必要がある。

 フジテレビゲームスには、放送局らしい演出の巧みさを感じさせられるものが多く、ターゲットの狙い方や他社との連携による成功など、注目すべき点が多くある。世界でヒットしているものとして、「ブロック工場」「カンフーランナー」がある。「ブロック工場」は、世の中のブロックゲームのために毎日ブロックを製造し、ブロックの形と色を合わせて、世界中のゲーム好きに届けるというもので、いわゆるブロック物にひねりが加わっている。「カンフーランナー」は、1人前のカンフーマスターになるための試練として、高速で飛ぶ主人公を操作して走行距離を競うものである。「1000本ノック!!!」も続々と配信されており、興味深い。いずれも、コンセプトさえ理解されれば、海外でも人気があるとの理由は明快である。女性をターゲットとして成功しているものでは、「もやしもん」「テルマエ・ロマエ」「ネットでマングローブ」が挙げられる。