国民食ながら寡占市場でもあるカレー業界でハウス食品はなぜ過半数のシェアを占めるのか。同社の創業から最近の競争戦略を題材に、経営やマーケティングの概念を平易に解説する。

 カレールウ全体のシェア3割を占める「バーモントカレー」の源流は、和漢薬品を扱っていた同社創業者の浦上靖介が1926年に懇意の食品製造会社から製造・販売部門を譲り受けた「ホームカレー粉」。こうした知られざる経緯を軸に、戦後日本で市場を開拓したプロセスを解説する。

 いち早く店舗で売り方を提案したり、辛さの段階ではなく味の深みであるコクを競ってシェアを取り返したりといった、話題にしたくなる小話が豊富だ。

カレーの経営学

カレーの経営学
井上 岳久著
東洋経済新報社発行
1575円(税込)