完成像が見えなくてもまず走り、走りながら考えよ─。著者は米グーグルやピクサーなどの例を引きながら、イノベーションを生み出すうえで「素早く失敗し、素早く学習する」文化が必要だと指摘する。

 本著ではそうした文化を培ううえで有効な行動を具体的に示している。「思い切りつまらないアイデアや試作から始める」「批判的な言葉を使わず、アイデアがプラスされていく雰囲気を作る」「制約を作って優先度の高いものにしぼりこむ」といったやり方は、個人の仕事にも応用できそうだ。イノベーティブな企業は実は、トヨタ自動車をはじめとした日本企業から、こうした手法のエッセンスを学んだという解説も興味深い。

小さく賭けろ!

小さく賭けろ!
ピーター・シムズ著
滑川 海彦/高橋 信夫訳
日経BP社発行
1680円(税込)