ITproが主催したAndroidアプリコンテスト「A3 2012」では、台湾の「COMPUTEX TAIPEI 2012」における出展とプレゼンを副賞とする「アイデア賞」と、協賛社であるソニーモバイルコミュニケーションズのスウェーデン拠点に訪問できる「グローバル賞」を設けました。受賞者がそれぞれ見たもの、体験したものを訪問記として執筆していただきます。今回の訪問記は、Androidによるサイクルシェアリングシステム「COGOO」で受賞したリレーションズの加藤章太朗氏です(編集部)。

 私たちが開発したサイクルシェアリングシステム「COGOO」(コグ―)は、今回、Android Application Award 2012のアイデア部門で大賞を頂き、6月上旬に台湾の台北で行われた「COMPUTEX TAIPEI 2012」に参加して参りました。せっかくの機会ですので、COGOOの海外展開可能性を探ることを目的に据えました。

 現地に滞在できたのは6月5日~7日と短い期間でしたが、現地のサイクルシェアリングの視察、町並みや文化への触れ合い、COMPUTEX TAIPEIでのプレゼンテーションなどを通じ、海外展開の可能性を感じることが出来ました。

台北で展開されている「YouBike」を視察

 事前に、COMPUTEX TAIPEIの会場付近で現地のサイクルシェアリングである「U-bike(YouBike)」が展開されているという情報を得ていたので、展示会に参加する前にまずは「YouBike」の視察を行いました。

台北のサイクルシェアリングシステム「U-Bike(YouBike)」
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 YouBikeは、台北のランドマークになっている高層ビル「台北101」の付近で展開されており、大型ポートを使った従来型のサイクルシェアリングシステムです。1つのステーションにつき20台程の自転車を収容できるようになっていましたが、多くの自転車が既に借りられており、サイクルシェアリングが一定程度機能していることが見て取れました。

YouBikeのステーション
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 ただ、システムは大きなポートやラックを必要とするものであり、広いスペースとある程度の初期投資が必要とされることが予想されました。そのため、今後サイクルシェアリングが台北で広がっていくならば、コンパクトなシステムであるCOGOOが必要とされる可能性もあると量産品完成へのモチベーションを高めることができました。

 YouBikeが設置してある場所の周りを歩いてみると、路上に自転車が整然と止められており、台湾国民の「マナーの良さ」を感じました。不特定多数の人が1台の自転車を使うサイクルシェアリングの運営は、利用者の皆様の「マナーの良さ」に支えられている部分があると思います。このような面からも、台湾での展開は十分あり得ると感じました。

バッテリー提供企業の候補と交渉

 さて、YouBikeの視察の後は、COMPUTEX TAIPEIの展示会の視察を行いました。かなり大きな会場ですべての会場を回ったのですが、全体的な感想としては、iPadなどのタブレットをPC化するワイヤレスキーボードが、かなりの規模で出展されており、「ノートPC」から「タブレット」への流れを強く感じました。

 また、日本で購入するよりも安く買える製品も多くありました。実際にバッテリーを販売している現地企業数社と面談をし、COGOOのシステムに組み込む小型で大容量なバッテリー候補も見つかりました。商談をする上で、言語が心配だったのですが(中国語は扱えない)、日本語が話せる台湾の方も数多くいたので、展示会での現地企業の方とのやり取りも全く不自由はありませんでした。日本からも3時間程度の距離なので、今後システム開発のパートナーを探す場所の一つとして台湾を考えていきたいと思います。

 プレゼンテーションは同行した他のメンバーが実施したのですが、終了後聴衆の方々から話しかけられ、関心が高いことを肌で感じることができたのが、大きな収穫でした(当日のプレゼンテーション録画映像)。

プレゼンテーションを行った当社の土屋敬
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 今回は短い期間の滞在でしたが、COGOOの海外展開の「可能性」を感じることができた貴重な機会となりました。次回は、COGOOを量産化した後に、ビジネスとして広げる目的で訪れられればと思います。