読者のみなさんは「Fujitsu Global Cloud Platform FGCP/A5 Powered by Windows Azure」(以下、FGCP/A5)というパブリッククラウドをご存知でしょうか。FGCP/A5は、マイクロソフトのパブリッククラウドである「Windows Azure」を使って、富士通が2011年8月1日にサービス提供を開始したクラウドサービスです。

Windows Azureとはまったく別のクラウドとなるFGCP/A5

 FGCP/A5の大きな特徴は、データセンターとして日本国内の群馬県館林にある富士通の館林システムセンターのみを利用している点です。つまり、国外のデータセンターにデータやアプリケーションが配置されることはありません。Windows Azureのデータセンターが、アジアでは香港とシンガポールのみで、データやアプリケーションを海外に置かざるを得ないWindows Azureとはこの点で大きく異なります。+

 館林システムセンターは東日本大震災時にも無事など、高い信頼性に応えてきた実績があります。また、運用も日本企業のアウトソーシングを長年おこなってきた館林システムセンターの熟練した運用要員が行っており、より日本の企業文化によりそった対応も期待できるでしょう。この2点だけでも、パブリッククラウドを初採用する日本国内の企業にとっては非常に利用しやすいパブリッククラウドの1つなのではないでしょうか。

 FGCP/A5のサービスが提供を開始したのは2011年8月1日です。発端は2010年7月13日に富士通と米マイクロソフトの間で合意した“「Windows Azure platform appliance」に関する戦略的協業”からです(参考記事)。このときの協業には、富士通以外に米Dell、米Hewlett-Packard、米eBayも含まれていました。この4社の中で、世界初の自社ブランドによるWindows Azureパブリッククラウドとして、いち早く提供を開始したのが富士通のFGCP/A5です。

 FGCP/A5はWindows Azureの技術を使いながら、Windows Azureとはまったく別の富士通のクラウドという位置づけです。日本におけるWindows Azureのデータセンターという位置付けではありません。この特集では、Windows AzureとFGCP/A5とでは、具体的にどこが同じで何が違うのかを、管理ポータルを使った運用管理と、アプリケーション開発の2つの面で見ていきましょう。