巨大な中国市場でもっとも人気のあるスマートフォンは何か。答えは米Appleの「iPhone」である。ただし一般消費者の購買力からするとiPhoneは“高級品”だ。そこで多くの消費者はiPhone以外の製品を購入することになる。現在数多く販売されているのがAndroidを搭載するスマートフォンである。

 韓国サムスン電子や台湾HTC、英ソニーモバイルコミュニケーションズといった大手メーカーの製品に加え、地元の中国ファーウェイ・テクノロジーズや中国ZTE、「ALCATEL ONE TOUCH」ブランドを冠した中国TCL Communicationの製品(写真1)など多くの製品が市販されており、その選択肢は幅広い。Mobile Asia Expoでもファーウェイ・テクノロジーズやZTEのほか、NEC、中国のKONKA Group(写真2)などがAndroid搭載スマートフォンを展示。またフィンランド ノキア(写真3)はWindows Phoneを展示・デモしていた。

写真1●「ALCATEL ONE TOUCH」ブランドを冠した中国TCL Communicationのスマートフォン
写真1●「ALCATEL ONE TOUCH」ブランドを冠した中国TCL Communicationの製品
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写真2●Mobile Asia Expoに出展した中国のKONKA Group。壁紙が大手メーカー製品に酷似している
写真2●Mobile Asia Expoに出展した中国のKONKA Group。壁紙が大手メーカー製品に酷似している
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写真3●Mobile Asia ExpoでのフィンランドNokiaの展示。ローエンドのWindows Phone「LUMIA 610」
写真3●Mobile Asia ExpoでのフィンランドNokiaの展示。ローエンドのWindows Phone「LUMIA 610」
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 そんな中、中国においてスマートフォン普及の起爆剤となっているのが“1000元スマホ”である。日本円に換算すると1万5000円以下の価格で販売されるスマートフォンだ。この価格帯に中国メーカーだけでなく、グローバルメーカーも製品を投入し始めている。

中国の“独自進化”が新興国のスタンダードへ

写真4●デュアルSIM対応スマートフォン
写真4●デュアルSIM対応スマートフォン
エトキ
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 もう一つ、中国市場で特徴的なのが、デュアルSIM対応のスマートフォンの多さである。デュアルSIM対応とは2枚のSIMを挿すことができるスマートフォンで、異なる携帯電話事業者のSIMを使い分けることができる(写真4)。

 写真4では画面表示から中国移動(China Mobile)と中国聯通(China Unicom)の2社のSIMを挿していることが分かる。仕事用と私用を分けるといった用途のほか、データ通信には3Gに定評があるChina Unicomを利用、エリアに定評があるChina Mobileは音声通話で利用、といった具合で使い分けているという。

 このデュアルSIM対応スマートフォンは中国メーカーの製品が多い印象だが、既にサムスン電子や韓国LGエレクトロニクスは製品を投入。また6月13日にソニーモバイルコミュニケーションズが発表した「Xperia tipo」はデュアルSIM版も用意するとしている(関連記事報道発表資料)。

 元々中国および周辺のアジア地域で独自に進化した感の強いデュアルSIM機だが、日本における「おサイフケータイ」や「ワンセグ」といった機能とは異なり、利用地域が制限されるものではない。

 むしろポストペイドよりもプリペイドによる通信料金の支払いが一般的な新興市場向けには、プリペイドSIMを同時に使い分けられるデュアルSIM対応機は「ラインアップとして用意して当然」になりつつある。例えばLGエレクトロニクスでは中国・アジア市場とともに、南米などを明確にデュアルSIM機のターゲットにしている。