台湾政府はこれまでWiMAXの普及に全力を注いできた。ところが加入者数の伸び悩みなどで2011年以降その方針を転換。WiMAXとLTE(Long Term Evolution)を並行して発展させる、という姿勢を取るようになってきた。台湾のモバイルブロードバンド事情を探る。
台湾政府は、2000年代初頭からブロードバンド計画の整備に力を入れてきた。2002年、台湾の内閣に相当する行政院が「e-taiwan計画」を発表。「アジアにおけるe-リーダーになる」という目標を達成するため、有線・無線を統合したブロードバンド網を完成させるという行動計画を打ち出した。
2004年にこれを実現するためのより具体的な計画として、「M-taiwan(モバイル台湾)計画」を発表。目標としてFTTHの整備に加え、「携帯電話ネットワークと無線LAN(Wi-Fi)/WiMAXを統合し、台湾全域にシームレスなインターネット環境を実現する」などの項目を掲げた。
特に力を入れたのがWiMAXである。2005~2009年の間に370億台湾ドル(約1011億円)をWiMAXのインフラ整備に投入する計画が発表された。2007年7月にはWiMAXの免許オークションを実施。帯域が割り当てられた事業者各社は2009年から2010年にかけて相次いでサービスを開始した(表1)。