ゲーム開発企業が電機メーカーや自動車メーカーなど、異業種と協業する事例が増えている。「使いやすさ」や「楽しさ」の実現が肝である、ゲーム制作のノウハウを提供できるからである。
プレイステーション3 (PS3)向け地デジ録画キット「torne」のような家電や、クラウド・サービスとつながる通信機器、リハビリ用の医療機器など各所でゲーム制作のノウハウを生かす試みが始まっている。
例えば、バンダイナムコゲームスは、電気自動車とタブレット端末を連動させた観光システムを開発した。その第1弾として、沖縄観光用に、日産自動車の電気自動車「リーフ」専用のタブレット端末向けアプリを開発した。2012年2月に始まったプロ野球球団の沖縄キャンプに合わせたものである。リーフのレンタカー利用者に対して、同アプリを搭載したタブレット端末を貸与する。
同アプリは、沖縄観光や球団キャンプを楽しむための機能を多数搭載した。例えば、キャンプ情報を提供する専用のWebニュース・サイトを開設した。日本の球団に関しては、各球団1名ずつの「番記者」を付けた。各球団のキャンプ地の地元住民を番記者とし、独自の情報を提供できるようにした。
プッシュ型アプリを提供する点も、ゲームらしい工夫である。その好例が、位置情報を利用した野球ゲームだ。ファミリーマートの店舗前を通過すると自動的に起動し、獲得したポイントに応じて店頭でくじを引ける。店舗付近にある急速充電器で充電している待ち時間にくじを引けば、時間を有効に使える。
観光システムの開発に当たり、日産自動車のサーバーで管理しているリーフの走行情報を利用した。同社がリーフの走行情報の外部利用を許可したのは、初めてとする。