子供の頃、テレビのアニメやドラマを見ていると大人が会社のオフィスで働くシーンを見ることがあった。手書きの書類を作成していたり、書類にハンコを押したりしている大人たちが働く姿をよく目にしたものだ。

 現代の仕事の主役は書類からメールに移り変わった。システム開発プロジェクトの現場でもそれは同じだ。PM(プロジェクトマネジャー)が1日に受信するメールを数えてみると、多い時には100を越えるメールを受信していることもあるだろう。

 さてそのとき、いったいどれくらいの時間を受信したメールをさばくのに費やすことになるだろうか。100通のメールのうち、8割は目を通すとして試算してみよう。メール1通の内容を見るのに30秒かかるとすると、トータルで40分ほどになる。

 さらにメール全体の2割を返信したとする。1件当たりに要する時間を平均10分とすると、返信作業に200分かかる。受信メールの確認と合わせると240分、つまり1日の業務時間の半分に当たる4時間がメールの処理に割かれていることになる。

 実際にはここまで多くはないだろうが、1日のうちにメールの処理に関わる時間は確実に増えている。システム開発プロジェクトでもコミュニケーションの手段としてメールは欠かせないからだ。1日のうちにメールに関わる時間は多くなるのは当然だろう。

 PMはこのとき、メールをさばくことを仕事にしてはいけない。進捗状況の把握、利用部門から寄せられる課題の対応状況といった、システム開発に関する本来の仕事にまで手が回らないからだ。