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 Webサービスの分野などで人気を博してきたオブジェクト指向のプログラミング言語「Ruby」に2012年4月、組み込み向けの軽量版「mruby」が登場した。生みの親であるまつもとゆきひろ氏へのインタビュー第3回は、プラットフォーム依存部の扱いやRubyチップ開発の狙いについて聞いた。

(聞き手は進藤 智則=日経エレクトロニクス)

軽量版のmrubyを開発したまつもと氏(写真:新関 雅士)
軽量版のmrubyを開発したまつもと氏(写真:新関 雅士)
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組み込み分野の場合、マイコン依存やOS依存の部分も気になるのですが、そのあたりはmrubyではどのように扱っていかれるのでしょうか。例えば、割り込みの扱いをどうするであるとか。

 プラットフォーム依存部については、mruby自身は関知しないというのが基本スタンスです。

 mruby自体はC99ベースで実装するというのが方針ですので、例えば、割り込みに関してはスコープの範囲外だと思っています。(必要な場合は)そのOSごとに、使い手の方がそのOSに対応した割り込みのコードを書いていただく形になるかと。mrubyのコア関しては、できるだけ移植性高く、ポータブルにしたいと思っています。

 確かに、割り込みについては非常に気になるところだと思います。OSごとにかなり共通のケースはあると思うので、そうしたあたりはどなたかがコントリビュートして下さればと思います。例えば「VxWorksでは、割り込みこうしましたよ」といったようなものをコードのライブラリみたいな形で集められれば、それはそれで嬉しいものになりますね。

 ただ、本当に割り込みが重要な問題になるようなリアルタイム性の高い領域でmrubyが使われるようになるのは、個人的にはかなり先だと思っています。それほど喫緊の課題ではないだろうと…。ただ、そう思いこんでいると、大体、予想は外れたりするのですが…。