2012年6月5~9日まで台北で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2012をレポートする今回の特集。第4回は、スマートフォンについて見ていきたい。
COMPUTEXは伝統的にPC関連製品がメインの展示会ということもあり、スマートフォンをはじめとするモバイル製品の展示は盛り上がりに欠ける印象があった。だが、AcerやMicrosoftなど、いくつかのブースにはスマートフォンコーナーもあった(写真1)。その中には日本国内では触れることが困難な最新端末もあったので、今回はそうしたものを中心に紹介しよう。
ASUSがタブレットとしても利用できるスマートフォンPadFoneを展示
ASUSが昨年発表し、2月のMWCで新製品としてお披露目されたスマートフォンとタブレットの両方の機能を兼ね備えた画期的なシステムが「PadFone」だ(写真2)。
タブレットのような形状の「PadFone Station」の背面には、スマートフォン本体であるPadFoneを格納するスロットがある(写真3)。このカバーを開き、PadFone本体を接続することで、10.1インチのAndroidタブレットとしても利用できる仕組みだ。
PadFone Station自体にはCPUやメモリーは搭載されておらず、単体でタブレットとしては使用できない。だが、PadFone Stationには6600mAhのバッテリーが内蔵されており、スマートフォン本体の1520mAhと合わせて、組み合わせた際のバッテリー容量は約5倍(8120mAh)となる。
さらにタブレット化した状態でキーボード付きのドック「PadFone Station Dock」と接続すると、ノートPCスタイルでも利用可能になる。Station Dockにも6600mAhのバッテリーが内蔵されており、合計で約9倍(14720mAh)になるという。
PadFoneは4月に台湾で発売されたものの、世界各国への本格的な展開が始まったのは6月に入ってから。そのため、COMPUTEXでの実機の展示には多くの注目が集まった。
普段はスマートフォンだけを持ち歩き、必要に応じてタブレットやデスクトップのシステムに接続するというコンセプトは、アイデアとしては珍しくない。だが、これまではデスクトップ用途に耐えられるほどのパフォーマンスをスマートフォンに求めるのは難しかったといえる。
そういう意味では、Snapdragon S4世代のプロセッサーを搭載するPadFoneは十分に実用的な速度で動作しており、ついにコンセプトを具現化するときがやってきたという印象だ。COMPUTEXではコンバーチブル型のWindows PCが増加したとはいえ、スマートフォンをベースにしている点ではPadFoneに一日の長があるといえよう。