本連載では、CCPMやDBRを生み出した大本のTOCの問題解決手法にスポットを当てる。多くのTOC関連書籍などで「思考プロセス」として紹介されているものである(本連載では「TOC思考プロセス」と記述する)。これをどのようにIT現場で問題解決に役立てればよいかを、筆者の実践経験を踏まえた知見も交えつつ解説していく。

 TOC思考プロセスは、組織・システムにおける問題の根本原因を「制約」と捉え、その制約を解消する方法を考えられるようにする、体系的なアプローチである。組織変革における問題解決を目的に開発されたもので、様々なツール(後述する)が用意されており、本来は体系的に活用することが前提とされており、書籍でもそのように解説されていることが多い。

 もちろんIT関連の組織全体で抜本的な生産性向上や品質向上の施策を打ちたいときにも、TOC思考プロセスをフルセットで利用してよい。しかし筆者の活用経験では、それらのツールの一つひとつを単独で活用することも可能である。例えば、特定のITプロジェクトを改善するための簡易問題分析ツールとして、その一部を活用してもよいだろう。また、プロジェクト管理の問題解決だけではなく、ソフトウェア開発における要求分析などで活用することも可能だ。

 実際にIT現場でTOC思考プロセスを活用した事例については、連載を続けるなかで紹介していく予定である。

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