以前に筆者が着任したソフトウエア開発企業の職場では、火を吹いて立ち往生するプロジェクトが相次ぎ、休職者や退職者が社員の1割を超えた。社内は殺伐として仕事には身が入らず、生産性は低下する一方で、客先との関係も最悪な状態になっていた。
「もうこのままでは、個人も会社も立ちいかなくなる。周囲のトレンド(米国型の経営)に流されず、ゼロから仕事のあり方を見直そう」。そう思い立って職場の改善を宣言し、ストレスの少ない職場作りと、生産性の向上に全社員で取り組むことになった。
その結果、約5年間で130を超す施策を実施し、毎年30%以上の生産性を向上させることに成功した。現在では、メンタルシック(心の病)で休職していたメンバーがマネジャー職や、プロジェクトリーダーとして開発の中心に戻って活躍するケースも出てきた。
本連載では、筆者らが実際に社内で実施した幾つかの施策を紹介しようと思う。内容は、経営者にしか実行できないような大がかりで体系的な施策ではなく、実際の現場のメンバーや、プロジェクトリーダーやマネジャー職の方にも参考としていただけるような、自分たち自身が働きやすい、ストレスの少ない職場にするための考え方やノウハウや知識などを紹介していこうと思っている。