大手ITベンダーが相次いで、ビッグデータの活用支援サービスを始めている()。共通するのは、コンサルタントによる提案活動の強化だ。顧客企業のニーズを把握する上流工程から着手し、システム構築受注やデータ解析の受託などにつなげるのが狙いだ。

表●大手ITベンダーが提供する主なビッグデータ活用支援サービス
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 日立製作所は6月7日から、「データ・アナリティクス・マイスターサービス」を開始した。顧客企業からデータを預かり、活用目的を聞き取ったうえで、分析手法を提案する。サービス提供に向け、データ解析などのスキルを持つ人材を「データ・アナリティクス・マイスター」と名付け、約40人社内から集めた。

 日立はビッグデータ活用支援を、4段階で進める。データ活用方針を決める「ビジョン構築」から、ビジョンを実現する道筋を提案する「活用シナリオ策定」、有効な分析手法を探る「実用化検証」、そして「システム導入」だ。

 今回のサービスでは、主に3段階目までをマイスターが支援し、実際のシステム構築やデータ解析サービスはSEが担う。上流工程を手厚く支援する体制を整えた格好だ。これにより、ビッグデータに関心はあるが、活用方法や分析方法が分からない企業の潜在需要を掘り起こし、ストレージ機器の拡販などを推進したい考えだ。

 日立の渡部眞也執行役常務は、「現在100億円強のビッグデータ事業規模を、2015年度には1500億円にまで拡大させる」と力を込める。社会インフラなどで約30のプロジェクトを進めている。

 富士通は4月から「データキュレーションサービス」の提供を始めた。統計学や機械学習、並列分散処理などのスキルを持つ約30人の専門家が、顧客企業からデータを預かり、2カ月でデータ分析の進め方を提言する。料金は500万円からだ。

 「仮説にデータを当てはめて分析するのではなく、データを読み解くことを通じて新たな分析ロジックを作る」と、富士通インテリジェントコンピューティング室の高梨益樹シニアマネージャーは説明する。既存の業務からは思いつかない新規ビジネスや業務改善策を、ビッグデータ分析を通じて見いだすのが狙いだ。データをどのように分析すべきかを提案することで、富士通のクラウドサービスの利用などにつなげていく。

 NECや日本IBMもビッグデータ関連の社内横断組織を立ち上げ、事業拡大に本腰を入れる。ビッグデータを、どう実際の売り上げに結び付けるか。提案競争が熱を帯びそうだ。