品質を上げ、コストを下げるほど、商品が売れ、企業の利潤は増える―。高度成長期を支えた「リニア思考」の限界が語られて久しい。経営コンサルティング会社マッキンゼーの東京支社長を務めた著者は、リニア思考に代わる概念として「循環思考」を提言。「風が吹けば桶屋が儲かる」の逸話を引きながら、因果関係をスパイラルさせながらイノベーションにつながる発想の必要性を説く。

 「問題の裏返しを解決策にしてしまう」「論点整理にこだわって本質的な問題を見落とす」といった陥りがちな失敗例に触れつつ、中核課題の定義や循環の発見法を解き明かしていく。社会システムデザインを理解するうえでも有用だ。

循環思考

循環思考
横山 禎徳著
東洋経済新報社発行
1680円(税込)