ゲーム関連で世界最大級の展示会「Electronic Entertainment Expo(E3)」が2012年6月5~7日(現地時間)、米国ロサンゼルスで開催された。E3は毎年6月ごろに開かれ、新型ゲーム機や新作ゲーム・ソフト、そして各種ゲーム機を利用したサービスなどについて毎年発表される。その年のゲーム商戦を占う上で、重要なイベントになっている。

転換期を迎えたゲーム業界

会場付近の様子
会場付近の様子
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 ゲーム業界は今、大きな転換期を迎えている。スマートフォンやタブレット端末でゲームを楽しむユーザーが急増しており、携帯型ゲーム専用機の市場を脅やかすほどに成長した。Apple社やGoogle社だけではなく、EC業界の大手Amazon.com社もゲーム・コンテンツの配信に意欲を見せるなど、異業種からの参戦も相次いでいる。

 DeNAやグリー、米Zynga社などが手掛けるソーシャル・ゲームも急成長中だ。2012年は、日本国内だけで3400億円ほどの市場になる予測されている。これは、2010年の日本の家庭用ゲームにおけるソフトウエア市場に匹敵する規模だ。さらに、スマートテレビへのゲーム・コンテンツの配信やクラウド型のゲーム・サービスといった新しい形のゲーム・サービスも既に始まっている。こうした新勢力が伸長する中で、従来の家庭用ゲーム機メーカーが描く事業戦略にも注目が集まっている。

 この混沌としてきたゲーム業界の将来を占う上で重要になるのが、同業界最大の国際展示会「E3」だ。本連載ではE3からの現地レポートをお届けする。

任天堂、SCE、マイクロソフトの戦略

会場入り口付近の様子
会場入り口付近の様子
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 今年のE3では、任天堂は据置型ゲーム機「Wii」の後継機「Wii U」のコントローラやコミュニケーション・サービスの詳細を明らかにした。Wii Uは、6.2型のディスプレイを備えたタブレット型のコントローラ端末を備える。このコントローラのディスプレイと、Wii U本体を接続するディスプレイの二画面を利用してゲームを楽しむ。

 今回、このコントローラの正式名称「Wii Uゲームパッド」およびハードウエア上の変更点を明らかにした。また新しいコミュニケーション・サービス「Miiverse(ミーバース)」を発表した。Wii Uのゲームを実際に楽しんでいるユーザーとコミュニケートできるサービスだ。

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)はAR技術を活用した書籍型周辺機器「ワンダーブック」とコンテンツ配信サービス「PlayStation Mobile」、そして新作ゲームを発表。

 米Microsoft社も、同社の据え置き型ゲーム機「Xbox 360」でテレビを「スマートテレビ化」する関連する各種機能を紹介した。

会場周辺のホテル
会場周辺のホテル
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 次回から、これらの新製品や新機能、新サービスの詳細、そして各社の担当者が語る戦略や製品に込めた思いを紹介していく。