機器同士がコラボできるようにするためのクラウドサービス、すなわち「M2Mクラウド」が始動している。M2Mとは、Machine to Machineの略称。インターネットに接続された機器が相互に通信することで、機器を自動的に制御したり稼働状況を監視したりする利用形態のことだ。

 このM2Mの実現を支援する機能をSaaSなどのクラウドサービスの形で提供するのが、M2Mクラウドである。具体的には、機器からの情報収集や蓄積、可視化や分析、ネット経由での情報共有、機器の遠隔制御といった機能を提供する。

実社会を見える化

 M2Mクラウドを使えば、実社会の状態を見える化できるようになる。自動車のカーナビゲーションシステムが発信する走行状態、産業機械の稼働状況、一般家庭の家電製品やオフィスの空調機器の消費電力、スマートフォンによる一般消費者の位置情報など、インターネットに接続した機器が発信する情報が爆発的に増えた。

 M2Mクラウドは、それら機器が発信する情報を収集・蓄積・分析・共有する機能を提供する。これにより、「今までは知ることのできなかった、社会全体のリアルな状況を把握できる」(NTTデータの中村好孝M2Mクラウド推進室 兼 経営改革推進担当部長)。

 社会インフラ全体のエネルギーを管理する「スマートシティ」の実現、時々刻々と増え続ける大量データである「ビッグデータ」の活用など、クラウドを使った機器とのコラボを実現できる。

 大手IT企業は、ここにきてM2Mクラウドサービスへ相次いで参入したり、事業強化に動いたりしている(表1)。各社が顧客や案件ごとに個別提供していたセンサーネットワークなどの管理システム構築サービスを、整理・強化したものだ。

表1●大手IT企業のM2Mクラウドへの取り組み
表1●大手IT企業のM2Mクラウドへの取り組み
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