Q:「クレームで外された」前任者からの引き継ぎで失敗しました

 以前(ISO9001認証を受けることが流行した時期)、それまでとあるお客様を担当していた古株かつリーダー格の要員が、お客様からの「要求した文書を作らず、ISO9001にのっとった業務遂行に非協力的」というクレームを公式の理由として外されることになり、私が後任として着任したことがあります(当初は、その更迭の事情は知らずにいました)。

 その前任者から引き継ぎを受けることが第1の仕事とされていましたが、前任者は外されることに納得していないわけです。引き継ぎを受けるに際し、私が引き継ぎスケジュールの叩き台を作って前任者とスケジュールについて話をしようとした時には「あんた相手に引き継ぎをやる気がしない」と言われましたし、責任転嫁と思われるようなことをかなり言われました。結果的にまともな引き継ぎにならず、私自身もそのお客様から外れ、その仕事ができなかったことを理由として自社から強引な退職勧奨を受け退職しました。

 結果として1つの職・1つの立場を奪いあう立場となった2人の間で仕事・ノウハウの引き継ぎを行うというシチュエーションの難しさを痛感しました。
(40代、男性、当時はメーカー系システムエンジニア、現在は小さな店の事務担当)

A:「経緯」「引き継ぎ元の能力」に応じた対処が必要です

 これは典型的な「ワケアリ引き継ぎ」の失敗事例ですね。結果的にあなたはIT業界から離れたわけですから、大変なご心労だったと思います。このような引き継ぎはこの業界ではよくあることですが、かなり高度な対処が求められます。こういう場合は結論から言えば、以下のような手順を踏まなければならないのです。

(1)引き継ぎに至った事情を会社と引き継ぎ元からよく確認する
(2)引き継ぎ元の能力と納得感を見極めて対応を考える
(3)引き継ぎ元から聞き出す努力をする
(4)顧客をなだめる
(5)顧客を自分の色で納得させる