ソフトバンクモバイルが2012年2月末にTD-LTE(LTEはLong Term Evolution)互換のAXGPサービスを、イー・アクセスが同年3月にLTEサービスを開始し、数十Mビット/秒クラスの高速無線サービスの選択肢が増えてきた。先行するドコモのLTE、UQのモバイルWiMAXを含めて、最新モバイルルーターを実地テストで比較した。

 ソフトバンクモバイルの「SoftBank 4G」は、同社のグループ会社であるWireless City Planning(WCP)が展開するTD-LTE互換の通信規格「AXGP」を、MVNO(仮想移動体通信事業者)として提供するサービス。SoftBank 4G対応機種として、まずは2月末にモバイルルーター型の「SoftBank 101SI」が発売された。AXGPのインフラは、カタログスペックでは下り最大110Mビット/秒の速度を誇る。ただし現時点で唯一の端末である101SIの下り最大理論値は、76Mビット/秒となっている。

 一方、イー・アクセスが開始したLTEサービス「EMOBILE LTE」の速度は、理論値では一部エリアで下り最大75Mビット/秒。先にサービスが始まったNTTドコモの「Xi」と同じスペックとなっている。

 とはいえ、移動体通信はインフラの作り方や電波の状態、ネットワークの混雑度によって速度が上下する。そこで、それぞれの実力を探るべく、上記2サービスを評価することにした。先行するNTTドコモのLTEサービス、UQコミュニケーションズのモバイルWiMAXサービスを加え、それぞれの実環境での通信速度を計測、比較した。

 評価に使用した端末は、NTTドコモ「BF-01D」(バッファロー製)、ソフトバンクモバイル「SoftBank 101SI」 (セイコーインスツル製)、イー・アクセス「GL02P」(韓国AnyData製)、UQコミュニケーションズ「AtermWM3600R」(NEC製)の4機種である(表1写真1写真4)。いずれも2012年2月から3月にかけて発売された最新のモバイルルーターである。評価に際しては、スループットの測定に加え、モバイルルーターとしての機能/使い勝手もチェックした。

表1●最大数十Mクラスの最新モバイルルーターを実力診断
ソフトバンクモバイルがAXGP(TD-LTE互換)を利用した高速無線サービス「SoftBank 4G」、イー・アクセスがLTEサービス「EMOBILE LTE」を開始したことで、数十Mクラスのモバイルルーターの選択肢が増えてきた。先行するNTTドコモ、UQコミュニケーションズのサービスを含めて、最新製品を実地テストしてみた。bpsはビット/秒。
表1●最大数十Mクラスの最新モバイルルーターを実力診断
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写真1●NTTドコモの「BF-01D」(バッファロー製)
写真1●NTTドコモの「BF-01D」(バッファロー製)
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写真2●ソフトバンクモバイルの「SoftBank 101SI」(セイコーインスツル製)
写真2●ソフトバンクモバイルの「SoftBank 101SI」(セイコーインスツル製)
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写真3●イー・アクセスの「GL02P」(韓国AnyData製)
写真3●イー・アクセスの「GL02P」(韓国AnyData製)
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写真4●UQコミュニケーションズの「AtermWM3600R」 (NEC製)
写真4●UQコミュニケーションズの「AtermWM3600R」 (NEC製)
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