2012年6月6日に日本武道館で行われた「第4回AKB48選抜総選挙」は、過去3回のうち2回センターに輝いた前田敦子の卒業発表による出馬辞退で、跡目争いが注目された。開票に先立って、スポーツ紙からAKBファンを自称するタレント、リサーチ会社までさまざまな事前予想が繰り広げられたが、中でも精度の高さを誇ったのが、ブログクチコミ件数などから算出した“ビッグデータ予測”。選抜メンバー上位16人中15人の顔ぶれを的中させていた。

 デジタルマーケティングコンサルティング会社のルグラン(東京都渋谷区)が、総選挙2日前の6月4日に発表した「データで予測する2012年第4回AKB選抜総選挙」がそれだ()。大島優子のセンター返り咲きはもちろんのこと、前年の9位から4位に躍進した指原莉乃を大胆にも3位と予測するなど、かなり精度の高い内容だった。ちなみに予測が外れたのは、20位と予測した梅田彩佳が16位に飛び込み、替わりに13位と予測した高城亜樹が17位に下がった、この1カ所だけである。

図●表の左から「総選挙最終結果」「ビッグデータ予測(ルグラン)」「Google+ファン数」「政見放送(アピールコメント)動画再生回数(YouTube)」「mixiファンコミュニティ参加者数」「ヤフー検索数」。16位圏外だったメンバーは青地で表示
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 予測順位と最終結果の間にズレはあるものの、上位16人中15人を当てるのは、ファンでも決して簡単なことではない。日刊スポーツは芸能記者とデスクの5人が予想を出していたが、みな2人以上外している。

 なお参考値として、Google+のファン数、YouTubeで公開している政見放送(アピールコメント)の動画再生回数、mixiのファンコミュニティ参加者数、ヤフーの検索数にも注目してほしい。16位圏外だったメンバーは青地で表示した。比較してみるとビッグデータの精度はやはり高い。mixiも15人的中ではあるが、躍進した指原が伸びておらず、どちらかというと昨年の総選挙結果に近い順位でそこからあまり変化していないとも言える。

得票数をズバリ予測

 このビッグデータが他のあまたある予想と違うのは、単なる順位予想ではなく、メンバー個々の得票数を予測することで順位を出している点にある。予測に当たってルグランは、以下の項目について各専門会社から過去3年間の総選挙前約70日間のデータ提供・協力を得て、分析した。

・クチコミマーケティング支援のホットリンク(東京都千代田区):ブログやTwitter、掲示板などにメンバーの名前が書き込まれた件数やその評判

・テレビ放送データ調査業のエム・データ(東京都港区):メンバーのテレビ番組・CM出現時間

・ネット視聴率調査のビデオリサーチインタラクティブ:AKB48公式サイトやGoogle+の各メンバーページへのアクセス数

そしてこれら各メンバーのデータと最終得票数との関係を解析した結果、以下の方程式を導き出した。

 得票数≒ブログクチコミ件数×2.75+CM登場分数×4.47

 ブログに名前が書き込まれた件数に比例して得票数が増え、CMに出演しているメンバーはそれがプラスアルファとなって上乗せされる、といった比較的シンプルな式である。ルグラン代表取締役の泉浩人氏は、「Twitterの投稿数も興味深い傾向が出ていたが、昨年より件数が数倍増えていたため、票数予測に使うには向かなかった」と語る。