ソーシャルメディアと情報システムを組み合わせて使う先進企業は、ソーシャルのデータをどのように取り込み活用しているのか。データの収集、分析、共有・活用、統合管理の実態を見ていく。

データ収集
作業の自動化が要

 ソーシャルメディアのデータ量は膨大で、時々刻々とデータが集まる。データ収集を担うシステムの最大の役割はデータの検索や分類といった作業の自動化だ。この機能は独自開発もできるが、IT企業のソフトやSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を利用するケースが多い。

2種類のSaaSを利用

 KDDIは顧客サポートシステムでつぶやきデータを自動的に収集し、傾向などを可視化するために、2種類のSaaSを組み合わせて利用している。一つは米セールスフォース・ドットコムの企業向けミニブログ「Chatter」、もう一つはプラスアルファ・コンサルティングのテキストマイニングサービス「見える化エンジン」である。

 自社の携帯電話サービスに関連するつぶやきの検索に、Chatterが備えるTwitterの自動検索機能を使っている。同機能は設定したキーワードに基づいて、Twitter上のつぶやきを自動的に検索し、データを取り込む(図5)。

図5●KDDIが構築した顧客サポートシステムの構成
図5●KDDIが構築した顧客サポートシステムの構成
つぶやきデータの収集、データ可視化、コンテンツ管理、データ変換・連携の各サブシステムから成る
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 見える化エンジンで実装している機能は、大きく二つある。一つは、社外のつぶやきデータと社内システムのデータを、併せて収集することだ。社内システムのデータとは、主にコールセンターに電話してきた顧客の意見や応対履歴などのログデータを指す。

 もう一つは、データの可視化機能だ。つぶやきデータやログデータの中にある単語を基に、単語の出現傾向などをグラフ表示する。「ソーシャルメディアのデータを取り込むことで、社内システムだけでは分からなかった顧客の声を可視化するシステムを構築できた」と、KDDIの中野グループ課長補佐は説明する。