写真●ソニー生命保険の嶋岡正充取締役執行役員専務
写真●ソニー生命保険の嶋岡正充取締役執行役員専務
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 ソニー生命保険(東京都港区)でCIO(最高情報責任者)を務める嶋岡正充取締役執行役員専務は、社内組織「CIOオフィス」の設置を検討している。これまでは嶋岡専務が大きな意思決定を下してきたが、これを仕組み化する必要性を感じているためだ。「組織としての判断機能を持ちたい」と嶋岡専務は話す。

 嶋岡専務はこれまで一貫してIT(情報技術)畑を歩んできた。1990年代には基幹系システムの刷新を手掛け、将来を見据えて「システムのグランドデザインをどう作るか」に知恵を絞った。

 グランドデザインを描くには、技術への目利き力がいる。嶋岡専務は技術を目利きするうえで、2つの視点を持つべきだと考えている。1つは流行(トレンド)に踊らされないことだ。先端技術やハイテク業界の流行に踊らされず、「自社の将来を考えて判断することが大切」という。もう1つは技術の継続性だ。仕事を依頼するITベンダーの経営状態や「使用する技術は長きに渡って定着する本命のものなのかどうか」などを10年のスパンで見極めなければならないという。

 この2つの視点を持つにはIT部門での長い経験が必要なように思えてくるが、それは「必ずしも条件ではない」とする。「どんなキャリアであっても、行動様式が一番重要」と嶋岡専務は強調する。

 勘定系システムの開発失敗を巡って争っているスルガ銀行と日本IBMの裁判については「システムが完成しているかどうかが最も大事」と語った。東京地方裁判所は日本IBMに約74億円の賠償を命じたが、「システムは完成していないのだから、スルガ銀行にとって(賠償されても)嬉しくはないだろう」と指摘した。


Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・2つあります。一つは距離感を近く保つようにしています。もう一つは一般常識で物事を考えて伝えることです

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・朝日新聞、日本経済新聞、毎日新聞、読売新聞、週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済、日経コンピュータ、日経情報ストラテジー、ニューズウィーク日本版
◆最近読んだ本
・『デフレの正体』(藻谷浩介著、角川ワンテーマ21)、『「精密力」~日本再生のヒント~』(眞鍋政義=全日本女子バレーボールチーム監督 著、主婦の友新書)、『本田にパスの36%を集中せよ―ザックJAPANvs.岡田ジャパンのデータ解析』(森本美行著、文春新書)
◆ストレス解消法
・ランニング

◆よく見るインターネットサイト
・日本経済新聞電子版